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国民党が若者との対話不足痛感、サービス協定推進は不変


ニュース その他分野 作成日:2014年4月16日_記事番号:T00049793

国民党が若者との対話不足痛感、サービス協定推進は不変

 中台サービス貿易協定に反対したヒマワリ学生運動は、国民党にジェネレーションギャップを埋める課題を突き付けたようだ。馬英九総統は15日、若者たちが関心を持つ問題などについて意見を聴く座談会を20日に行うと明らかにした。若い世代の意見や価値観をくみ取り、政策に反映させていこうというもので、そうした努力を行わなければ若年層の支持を失うとの危機感を抱いている。16日付中国時報などが報じた。


馬総統は学生運動の間も直接対話を希望していたが実現しなかった(15日=中央社)

 座談会の参加者は35才以下の青年が対象で、テーマはサービス貿易協定に絞らず、教育、就業、高齢社会、中台関係など幅広く想定している。馬総統は「学生運動によって、国民党はインターネット文化や若者が関心を持つ問題に認識が浅いことが明らかになってしまった。党は若者の期待と国家の前途を結び付けなければならない」と述べた。

 江宜樺行政院長も同日、教育部青年発展署に対し、座談会の準備を指示したことを明かした。学生のみならず、各業種、大企業の従業員から起業した若き経営者や就職活動中などの青年を集める予定で、率直な発言に期待していると語った。

「多様な声聴く仕組みを」

 江行政院長は、現代の若者は社会に関心がなく、個人の権益を優先させる「草苺(イチゴ)族」と言われてきたが、今回の学生運動で世間の見方は変わり、今後の公共政策には学生などの若者の意見にも耳を傾ける必要があると説明。学生運動で駆使されたインターネットが政治に大きな影響を与えたことに注目し、新たな媒体として重視することや、政策決定時に多様な意見を聞き入れる仕組みづくりの必要性に気付かされたと評価した。

 江行政院長は一方、学生運動後初めてサービス貿易協定の方針について触れ、今後も推進していく考えに変わりはないと強調した。反対派はサービス貿易協定に対し、「国家の安全を揺るがす」、「台湾の主権を失い生活が一変する」などと訴えているが、学生運動が終結した今こそじっくり討議できると強調した。また、サービス貿易協定を棚上げして、後続の物品貿易協定を先に発効させる方がよいとの意見も挙がっているものの、そうした考えはないとの立場も述べた。また、台湾全住民による住民投票でサービス貿易協定の必要性を問うこともないとした。

国是会議は7月に延期

 なお、台湾が地域経済統合への動きにいかに対応するかなどについて幅広い層から意見を聴取する「経貿国是会議」は、6月の開催を予定していたが、参加者の選出やスケジュール調整が難しく7月上旬への延期が決定した。同会議は▽国家発展委員会(国発会)が各界から選出した20人を顧問とする委員会を組織▽政界、産業界などから招いた約120人と住民団体の代表による東西南北の4カ所で会議▽全体会議──の3段階で行う予定だ。会議の模様はインターネットで中継し、意見を募ることも検討されている。

「金融業は大打撃に」

 一方、金融監督管理委員会(金管会)は、サービス貿易協定が発効されなければ、金融業界は10事業で打撃を受けると強調した。最も深刻なのは政府が注力する台湾の人民元オフショアセンター化構想への影響だ。その他、銀行業では現在中国で台商(中国で事業展開する台湾系企業)向けに人民元業務を行っている台湾の銀行4行は、台湾系企業の定義が拡大しないためサービス対象範囲が広がらない。証券業では投資枠1,000億人民元(約1兆6,400億円)を上限に認める人民元適格外国機関投資家(RQFII)制度が実施されず、人民元建て金融商品を発行する機会も失うと説明した。その上で、サービス貿易協定発効が、金融業の発展や国際競争力向上に重要な役割を担うと訴えた。

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