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PC市場が来年成長回復へ、台湾受託業界に追い風


ニュース 電子 作成日:2014年8月22日_記事番号:T00052291

PC市場が来年成長回復へ、台湾受託業界に追い風

 2012年から出荷成長率の前年割れが続いていたパソコン市場について米ゴールドマン・サックス証券は21日、来年の成長率予測を従来のマイナス成長から0.1%増へと上方修正し、プラス成長を回復すると予測した。マイクロソフト(MS)のウィンドウズOS(基本ソフト)のライセンス料引き下げやXPサポート終了などで個人、企業向けともに需要が高まっており、台湾の受託生産メーカーは今後の出荷増が期待される。22日付工商時報などが報じた。

 市場調査会社、ガートナーは6月、ノートPCとデスクトップPCを合わせた今年の世界出荷台数を2億7,622万台(前年比6.7%減)、来年は2億6,166万台(5.3%減)といずれもマイナス成長を予測していた。しかしゴールドマン・サックスは「PC市場は谷底を脱した」として、今年の出荷台数予測値を2.3%、来年予測値を3.1%とそれぞれ従来予測から上方修正。これに伴い今年の出荷成長率予測も従来の3.8%減から1.5%減に、来年予測を従来の0.8%減から0.1%増にそれぞれ引き上げた。

 厳柏宇・同社ハイテク産業アナリストは、▽世界経済が予想以上の回復を見せる▽マイクロソフトがウィンドウズOSのライセンス料をさらに引き下げる▽タブレットPCの需要が予想以上に鈍化する──といった条件が起きれば、PCの世界出荷台数予測値をさらに引き上げる可能性もあると述べた。

コンパル今年4300万台も

 台湾のPC受託メーカーの中では、聯想集団(レノボ)、デルを主要顧客とする仁宝電脳工業(コンパル・エレクトエロニクス)の出荷成長が特に期待されている。証券会社は、コンパルの今年の出荷台数は同社目標の4,100万台を上回り、4,300万台も狙えると予測した。この第3四半期は新学期シーズンに伴うコンシューマ向け製品の需要増を追い風に出荷が1,100万台を超え、前期比成長率は業界平均を上回る5〜10%となる見通しだ。

 一方、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)は、主要顧客であるヒューレット・パッカード(HP)の業績回復の恩恵が予想されている。HPの今年5〜7月期売上高は前年同期比1.3%増の276億米ドルとなり、11年から続いていた3カ月ベースでのマイナス成長を止めた。MSによるウィンドウズXPサポート終了が企業の買い替えを促し、PC事業が11.8%の増収となったことが主因だ。

 証券会社は、HPの今年のノートPC出荷は3,000万台を超え、4年ぶりにプラス成長に転じると予測している。モルガン・スタンレーは、HPは出荷成長に伴いクアンタへの発注比率を昨年の37%から今年は41%へ、コンパルへは7%から11%へ、緯創資通(ウィストロン)へは7%から10%へとそれぞれ高めると予想した。

体質強化を評価

 厳アナリストはまた、受託生産メーカーはここ数年、生産拠点の統合、生産自動化による出荷規模拡大を進め、第2四半期にコンパルを除く各社の営業利益率が従来予測を上回ったことがその効果の表れだと指摘し、体質強化による収益力向上を評価した。