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食品企業の違反に罰金10倍、政府が不正対策8項目


ニュース 食品 作成日:2014年9月18日_記事番号:T00052771

食品企業の違反に罰金10倍、政府が不正対策8項目

 廃油ラード(豚油)が食品・飲食業界に出回った事件を受け、行政院は17日、偽物混入など食品メーカーの違法行為に対する懲役刑の最高期間を現行5年から7年に、健康被害が出た場合の罰金を最高1億台湾元(約3億6,000万円)に引き上げる食品安全衛生管理法(食管法)の改正案など不正抑止対策8項目を発表した。ただ、今年初めに食管法が厳罰化されたにもかかわらず今回の事件を防げなかったことから、新たな措置が当面どこまで効力を発揮するかは観察が必要と言える。18日付聯合報などが報じた。


江行政院長は発表会見で「悪徳企業を台湾から根絶する」と宣言した。行政側が対策を効果的に実行できるかも鍵となる(17日=中央社)

 行政院が発表した8項目は、▽刑罰強化▽不正告発者への報奨金引き上げ▽中央政府の告発専用電話(ホットライン)の設置▽油製品の用途別管理▽廃油の回収管理▽3段階の品質管理(3級品質管理)システム構築▽食品トレーサビリティーシステム整備▽GMP(製造工程管理)認証制度の改革──。

 このうち刑罰強化に関しては、偽物混入または偽装表示を働いた企業に対して7年以下の懲役、最高8,000万元の罰金を科す。また健康被害が出た場合の罰金を最高1億元、死者が出た場合は最高2億元へと現行の10倍に引き上げる。

 廃油ラード事件は屏東県在住の男性の告発によって明るみになったことから、不正告発者への報奨金の上限額を現行の「罰金の10%」から「罰金の20%以上」に引き上げる。罰金は最高2億元に上るため告発者には最大4,000万元が支給されるとの試算もある。さらに、不正企業からの内部告発を促すため、現職者、離職者に対しては報奨金額を通常の2倍とする。ちなみに今回、告発者の男性に対して中央政府から200万元、屏東県政府から40万元の報奨金が支払われることとなった。

 この他、屏東県政府が男性の告発に対応しなかったことで今回の事件発覚が遅れた経緯を踏まえ、中央政府に直接訴えることができる専用電話の設置を決めた。

 食管法の改正案は早ければ来週25日の閣議決定後、立法院に提出され審議にかけられる見通しだ。

10月末から自主検査強制

 油製品の用途別管理について江宜樺行政院長は、今後食用、飼料用、工業用の3種類に完全に分けて管理すると説明した。食品製造業・加工業者による飼料用、工業用油の使用を禁止し、違反者には重罰を科す。輸入油製品も同様に用途別に管理し、当局への登録、輸入検査を求めるなど規制を強化する。

 さらに、油製品を含めた食品全般の品質管理を3段階に分けて行う。第1段階は企業による原料、半製品、完成品に対する自主検査で、食用油脂製造業には今年10月31日から、▽水産食品▽肉類加工食品▽乳製品加工食品▽食品添加物製造・輸入▽特殊栄養食品──の5業種には今年末から強制的に実施を求める。第2段階は食用油脂製造業に対し、来年1月1日から衛生安全に関する第3者機関からの認証取得を義務付ける。第3段階は食用油脂製造業に対する食品良好衛生規範(GHP)順守状況を優先的に調べるなど、政府の調査体制を強化する。

食品クラウド構築に4年

 なお食品産業の原材料段階から最終商品に至る情報の登録管理を行う「食品クラウド」の運用開始時期について、食用油脂業者は今年10月31日から、海産物、肉製品など8業種は来年2月5日から、炭水化物、でんぷん類は来年7月以降と段階的に管理の対象に入れる。「電子発票」(電子レシート)の使用を義務付けることで食品流通状況の迅速な把握やデータベース構築に役立てる。事件発生時に不正食品の行方が迅速に分かる他、流通網で異常が見つかった際、事件発生を未然に防ぐ効果が期待される。ただ膨大な種類の食品データ構築には4〜5年かかるとされており、「食品クラウド」が効果を発揮するのは当分先になりそうだ。