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鴻海と台湾大哥大が戦略提携、大手2陣営に通信業界再編へ


ニュース 電子 作成日:2014年9月26日_記事番号:T00052931

鴻海と台湾大哥大が戦略提携、大手2陣営に通信業界再編へ

 鴻海精密工業は25日、通信キャリア大手、台湾大哥大(台湾モバイル)との戦略提携を発表した。台湾大哥大が鴻海子会社の国碁電子(アンビット・マイクロシステムズ)の株式14.9%と第4世代(4G)移動通信システムの周波数帯700MHz(メガヘルツ)の帯域幅5MHzを合計64億1,300万台湾元(約230億円)で取得する。その後、鴻海が台湾大哥大に2%出資する。4G時代の通信業界は、中華電信と台湾大哥大・鴻海の大手2陣営に再編される見通しとなった。26日付経済日報などが報じた。

 アンビットは早ければ10月にも4G免許を取得し亜太電信(アジア・パシフィック・テレコム)を株式交換で合併するが、新・亜太は4Gの周波数帯域幅が合計30MHzと法定の25MHzを超えてしまうため、5MHzを大手3社の中華電信、台湾大哥大、遠伝電信(ファーイーストーン・テレコミュニケーションズ)が狙っていた。

 鴻海は、各社が提携に誠意を示してくれたが、提携効果を最大化するため、台湾大哥大に5MHzを34億3,300万元で売却し、アンビットの増資を引き受けてもらうことに決めたと説明した。台湾大哥大がアンビットの株式14.9%を29億8,000万元で取得した後、アンビットと亜太電信が株式交換を行い、台湾大哥大の出資比率は3.45%となる。新・亜太にとって鴻海、台湾鉄路(台鉄)に次ぐ3位株主になる。

 一方、台湾大哥大は、特定の投資家に対し自社株を放出すると発表した。鴻海が2%出資し、台湾大哥大の重要株主となる見通しだ。

リソース共有、4G首位に意欲

 鴻海と台湾大哥大の提携は業界初の株式持ち合いにとどまらず、ネットワークの共有、音声通話サービス「VoLTE(ボルテ)」や、ケーブルテレビ(CATV)、スマートハウスまで拡大する可能性がある。

 鴻海は、新・亜太が台湾大哥大とネットワークのリソース共有で投資の重複を減らし、競争力を高めると表明。ユーザー数と市場シェアで業界の先頭に立ち、4G市場の主導権を握ると意気込んだ。

台湾スターに大打撃

 台湾大哥大はモバイルユーザー757万件を有する業界2位。新・亜太のユーザーは200万件近く、合計957万件に上る。ケーブルテレビのユーザーは合計155万件。

 これまで通信業界は中華電信(ユーザー1,100万件以上)を筆頭とする大手3社体制だったが、遠伝(ユーザー735万件)が大手同士の競争から振り落とされる恐れが出てきた。さらに台湾大哥大は、周波数帯域幅の拡大により通信速度で中華電信に勝る可能性もある。一方、新・亜太は富邦集団、鴻海科技集団(フォックスコン)の金銭的支援が受けられるため、台湾之星電信(台湾スターテレコム、ユーザー180万件)にとって大きな脅威だ。こうした状況から、遠伝と台湾スターが手を組む可能性もありそうだ。

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