ニュース 食品 作成日:2014年10月20日_記事番号:T00053339
頂新国際集団の食用油事件で、ベトナムから飼料用油脂を供給していたダイハインフック(大幸福)社は、過去3年半の台湾への輸出量が4万3,000トンに上ることが台湾の駐ベトナム台北経済文化弁事処によって明らかにされた。これを原料にして製造された食用油はすでに市場に出回ったとみられ、台湾の人口約2,300万人で割ると1人当たり2キログラム近くを消費した計算になり、被害は予想以上に深刻だったと言える。20日付聯合報などが報じた。
ベトナムのダイハインフック社。正義公司が頂新グループに買収された翌06年の設立で、台湾人経営者の楊振益容疑者は、頂新の意向を受けて同社を立ち上げたのではないかとの疑惑も指摘されている(中央社)
頂新グループの傘下企業、正義公司のラード(豚脂)製品は、重金属のクロムやニワトリの成分が含まれていたとみられることが先週報じられたが、中国医薬大学附設医院毒物科の洪東栄主任は、「飼料用油脂を原料にした食用油2キロを消化した場合、がん罹患(りかん)リスクや肝臓・腎臓機能の減退の恐れがある。台湾は大腸がんと肝臓がんが他国に比べて多いが、その原因の一つになっているのではないか」と指摘した。
彰化地方法院検察署によると、ダイハインフックが台湾に輸出した飼料用油脂4万3,000トンのうち、頂新製油と正義公司の2社への供給量は3,372トンで、残りは飼料メーカー13社に供給され、さらに食用油メーカーに転売されたとみられ、現在ルートの解明を急いでいる。
改善要求行わず
検察の捜査が進むにつれて、頂新グループがコスト削減のため意図的に飼料用油脂を調達していた状況がさらに明らかになってきた。
頂新製油は今年3月、同社代理董事長兼総経理の陳茂嘉容疑者がベトナム・ホーチミン市のダイハインフックを視察。同社の油製品を台湾に持ち帰り、脂肪酸や重金属の成分を分析したところ、「食用には不適当」という結果となり報告書には「不合格」と記載された。
この報告書は、3月下旬に開かれたベトナム視察の報告会議で、頂新製油などの董事長を辞任した魏応充容疑者以下、幹部全員に配られた。しかし頂新グループはダイハインフックに改善を要求することもなく、同社からの調達を続けた。さらに、こうした結果を基に、酸性値が標準を1%上回った場合1%値引きをするようダイハインフック側に求めていたという。
魏応充容疑者を勾留
魏応充容疑者は先週17日に勾留が決まった。決め手になったのが、陳容疑者にベトナム視察を指示した会議記録で、魏容疑者がダイハインフックからの飼料用油脂調達の事情を知り、自ら関係していたことをうかがわせるものだ。
勾留された魏応充容疑者。最高級マンションから刑務所に身柄を移したが、落ち着いたようすだという(中央社)
検察はこのほか、頂新製油の前総経理、常梅峯容疑者が署名したダイハインフックからの調達に関する書類に魏容疑者のはんこが押されていたことや、頂新グループの事件が明るみになった後、頂新製油の課長が「時間との競争だ。急いで処理しろ」と無料対話アプリ「LINE」を使って証拠隠滅とみられる指示を行っていたこともつかんだ。
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