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《頂新食用油事件》台湾食品の輸入規制、11カ国に拡大


ニュース 食品 作成日:2014年10月28日_記事番号:T00053497

《頂新食用油事件》台湾食品の輸入規制、11カ国に拡大

 一連の不正食用油事件を受け、台湾製食品の輸入・販売停止などの措置を取っている国・地域が11カ国へと、先週までの6カ国・地域から拡大したことが27日、杜紫軍経済部長によって明らかにされた。影響は企業235社に及んでおり、今年通年で食品輸出額が、台湾の輸出全体の3%相当の約22億台湾元(約78億円)減少するとみている。頂新国際集団の非常識なビジネスは「メイドイン台湾」の評価を下落させるとともに、実害も拡大させている。28日付工商時報などが報じた。


杜経済部長(右)。日本と中国は台湾政府が発表した該当企業の全製品を輸入停止にしており、台湾は全面規制の解除を求めて日本との交渉を続けているという(27日=中央社)

 台湾製食品に対し輸入規制措置を取ったことが新たに分かったのは▽ニュージーランド▽フィリピン▽ベトナム▽オランダ▽チリ──の5カ国。このうち、ベトナムは食用油やその他加工食品に対する検査を強化したほか、頂新国際集団傘下の味全食品工業に対し缶詰製品480箱の回収を要求した。また、ニュージーランドは輸入業者に対して問題製品の回収・廃棄を命じた。

 台湾からの食品輸入をめぐっては、9月上旬に発覚した廃油ラード(豚油)事件を受け、まずシンガポールが奇美食品の肉製品などの輸入を一時停止した。その後、10月上旬には頂新グループによる飼料用油脂を食用油の原料にしていた不正が発覚し、香港が台湾製食用油の輸入販売を全面的に禁止したほか、▽日本▽中国▽マカオ▽マレーシア──も台湾当局が発表した問題ラードや川下製品、台湾製の全ての食用油の輸入を停止するなどの措置を取った。

輸入ヘットも非食用判明

 一方、衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)は同日、頂新グループの頂新製油実業(彰化県永靖郷)が昨年6月~14年7月に、ベトナムのダイハインフック(大幸福)社から輸入したヘット(牛脂)は全て非食用であることが分かったと発表した。

 TFDAによると、ダイハインフックは食用製品の生産に必要な認可をそもそも同国主管機関から受けていなかった。TFDAは同社のヘットは全て飼料用クラスの非食用と認定し、問題のヘットを使用した業者に対して、関連製品全てを撤去して廃棄するよう命じた。

 TFDAによると、27日までに通報があった頂新製油のヘット使用商品は102品目、自主的に撤去された製品は23トン以上に上った。

味丹の即席麺にも疑い

 食品大手、味丹企業(ベダン)は26日、即席麺「味味麺紅焼牛肉湯麺」(特大号、78グラム5個入り)の粉状調味料の原料に、頂新製油の製品が使われていることが新たに分かり、台中市政府衛生局へ通報するとともに、予防措置として対象製品を撤去した。


台中市衛生局は「味味麺紅焼牛肉湯麺」の在庫を厳封した(27日=中央社)

 味丹によると、昨年9月12日から今年9月10日にかけて原料仕入先の詮亜(雲林県)から粉末ラード735キログラムを購入、このうち約627キロ余りを使用して調味料約5万ケース(約150万袋)を製造した。現在在庫は3,227ケースあり、残りは店頭から回収した。同社は11月30日までレシートと商品を購入店へ持参すれば返金する方針だ。なお、詮亜はオーストラリアから粉末ラードの原料を調達していた。

 味丹は、この2カ月間の不正食用油事件によって、即席麺の売り上げが3割以上減少している。

 頂新製油は、豪州から輸入したヘットとベトナムから輸入した非食用ヘットは異なる油貯蔵タンクを使用したと主張しているが、パイプを経由して非食用ヘットが混入した疑いが持たれている。

次は小麦粉・大豆を調査へ

 食の安全性への信頼が揺らぐ中、蒋丙煌・衛生福利部長は、現在進めている食用油工場の全面検査は今月末に完了見通しで、次は小麦粉、大豆、しょうゆ、塩、砂糖などの日用食品を対象にすると話した。小麦粉、大豆がまず優先的に調査される可能性がある。