ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

10月輸出受注、iPhone6で過去最高


ニュース その他分野 作成日:2014年11月21日_記事番号:T00053974

10月輸出受注、iPhone6で過去最高

 経済部統計処が20日発表した10月の輸出受注は前月比3.7%増、前年同月比13.4%増の449億1,000万米ドルで2カ月連続で過去最高を更新した。アップルの新スマートフォン「iPhone6」関連で好調な受注が続いていることが数字を押し上げた。また、超高解像度の大型液晶テレビの需要が伸びていることから、液晶パネルの受注が回復し、精密機器は17カ月続いたマイナス成長からようやく抜け出した。21日付工商時報などが報じた。



7項目で過去最高

 10月は輸出受注全体を含め、▽情報通信製品▽電子製品▽機械製品▽米国向け▽欧州向け▽東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国向け──の7項目で単月の過去最高を更新した。

 製品別では、モバイル端末の新製品発売が相次いでいることや、iPhone6の人気に支えられ、情報通信製品が129億米ドル(前月比0.4%増、前年同月比21%増)、電子製品が113億米ドル(前月比1.4%増、前年同月比14.1%増)とともに前年同月比2桁成長を果たし、全体をけん引した。▽組み立て▽ファウンドリー▽パッケージング・テスティング(封止・検査)▽DRAM──などサプライヤーの受注が引き続き旺盛だった。

 iPhone6関連ではデジタルカメラレンズの需要も増加。それに加え、大型液晶テレビ用の液晶パネルの需要回復で精密機器製品が28億9,000万米ドル(前月比1.1%増、前年同月比1.4%増)とプラス成長に転じた。

 その他、機械製品は19億9,000万米ドル(前月比5.8%増、前年同月比17.2%増)と過去最高に加え、7カ月連続の前年同月比2桁成長となった。林麗貞統計処長は、景気回復で設備投資意欲が高まっているとの見方を示した。

 一方、国際原油価格の下落で模様眺めムードが漂っていることから、プラスチック製品、化学製品は前年同月をそれぞれ2.4%、3.4%下回った。

通年予測、2度目の上方修正

 地域別の輸出受注額は、過去最高を更新した▽米国向け、124億3,000万米ドル(前月比9.3%増、前年同月比17.4%増)▽欧州向け、95億2,000万米ドル(前月比4.4%増、前年同月比29.9%増)▽ASEAN主要6カ国向け、49億米ドル(前月比8%増、前年同月比20.4%増)──と軒並み前年同月比2桁成長となった。クリスマス商機に向けた情報通信製品、電子製品を中心に受注が増えた。中国向けも99億8,000万米ドルと前年同月比3%増だったが、日本向けのみ34億1,000万米ドル、4.9%減と前年同月を下回った。円安との関係について林統計処長は、輸出受注の多くが米ドル建てのため影響は限定的と分析した。

 年内の見通しについて林統計処長は、昨年同様、モバイル端末の大手ブランドによる新製品投入が第4四半期に相次ぐことや、欧米のクリスマス商機、新分野の第4世代移動通信(4G)サービス、モノのインターネット(IoT)がけん引し、関連サプライヤーは輸出受注を伸ばすと指摘。通年の輸出受注額予測を4,800億米ドルへと今年2度目の上方修正をした。

中韓FTA、精密機器に打撃

 ただ、中韓が自由貿易協定(FTA)の締結交渉で基本合意したことによる輸出受注への影響について林統計処長は、精密機器製品への打撃を最も懸念していると語った。主力の情報通信製品、電子製品は多くが情報技術協定(ITA)で既にゼロ関税となっており、影響を受けないためだ。鉄鋼、紡織などの従来型産業はもともと輸出受注に占める割合が高くないが一定の打撃を受けるため、観察が必要との見方を示した。

【図】