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古雷半島の石化園区、来年6月にも着工へ


ニュース 石油・化学 作成日:2014年12月17日_記事番号:T00054456

古雷半島の石化園区、来年6月にも着工へ

 中国福建省の古雷半島での石油化学園区に関する提携枠組み協定をはじめ、中台の業界間で提携協定や意向書31項目が、16~17日に開催された両岸(中台)企業家台北サミットで締結された。古雷半島の石化園区に関する台湾側の召集人、陳武雄氏(和桐化学創業者)は、来年6月に着工、2018年9月の稼働開始を目指すと語った。国光石化科技(KPTC)の石化園区建設計画の頓挫、今夏の高雄爆発事件で、生産拠点の見直しが迫られていた台湾の石化業界にとってボトルネック解消の契機となりそうだ。17日付工商時報などが報じた。


蕭万長氏(中)は、台湾経済の将来を考え、中台間の企業交流を活発化させたいと述べた(16日=中央社)

 古雷半島の石化園区に関する提携枠組み協定は、両岸企業家台北サミットのエネルギー石化装備産業推進小組のグループ討議を経て、中国石油化工集団(シノペック)、福建省、台聚集団(USIグループ)の各代表と陳武雄氏が締結した。

 中国の盛華仁・元国家経済貿易委員会主任は、4年前にシノペック総経理として訪台した際に、台湾中油(CPC)傘下のKPTCによる石化園区建設計画が議論されていたが行き詰まり、台湾企業から中国に候補地を求められたと語った。中国政府が選定した古雷半島は、中国の石化産業の7大拠点の一つで、水深が深い良港があると指摘した。

 KPTCは2005年当初、 雲林県での建設を計画していたが環境影響評価審査が通過せず、08年に彰化県に変更したものの環境問題に再び直面。11年にマレーシアでの建設に方針転換したが、米国のシェールガス開発成功から、昨年5月に投資対効果への懸念から断念したとされる。

一貫生産でコスト減

 古雷半島の石化園区計画は、中国側はシノペック、台湾側は▽和桐化学▽USI▽亜洲聚合(アジア・ポリマー)▽李長栄化学工業(LCYケミカル、栄化)▽聯華気体工業──、および和桐化学傘下の▽盛台石油▽中華全球石油(Chenergy)──の7社が投資する。原油処理能力は1,600万トン、主要製品はエチレン120万トン、プロピレン60万トン、その他川下製品とされる。

 陳武雄氏は、総投資額は100億米ドル以上だが、初期投資は40億米ドルで既に出そろっており、中台が50%ずつ出資すると述べた。また、生産能力は未定だが、当初計画と大きな違いはないと語った。また、原料から製品完成、輸出まで1カ所で可能で、これまで中間で必要だった税務処理や関税手続きが不要になるとメリットを指摘。エチレンを台湾に輸出して使用することも可能だと述べた。

来年は南京、中小企業がメインテーマ

 中台の7業界の提携推進小組が締結した提携協定・意向書・覚書は、エネルギー石化関連の2項目のほか、▽経済交流、1項目▽情報家電産業、2項目▽金融業、2項目▽中小企業・成長企業、9項目▽文化・クリエイティブ産業、15項目──の計31項目。医薬品審査、臨床試験、医療機関の合弁などでも認識が一致した。

 両岸企業家台北サミットの台湾側の理事長、蕭万長氏(前副総統)は、来年は南京市で開催予定で、議題は今年と同じく中小企業、青年の創業が中心になると予告した。