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モテックAD税率11%に低下、対米輸出有利に


ニュース その他製造 作成日:2014年12月18日_記事番号:T00054485

モテックAD税率11%に低下、対米輸出有利に

 米商務省は17日、太陽電池大手、茂迪(モテック・インダストリーズ)の米国への輸出製品に対する反ダンピング(不当廉売、AD)関税率を11.45%へと、8月仮決定時の20.86%から引き下げると発表した。これに伴い、モテックが基準になっていた他の台湾メーカーの関税率も19.5%へと4.73ポイント引き下げられた。一方で中国メーカーに対する関税率は平均52.13%に引き上げられ、台湾製品の対米輸出が有利になった形だ。モテックは今後、米側に反ダンピング措置そのものの撤回を求めていく構えだ。18日付経済日報などが報じた。

 台湾の太陽電池メーカーに対する米国の反ダンピング調査をめぐっては、モテックは今年7月に商務省より仮決定段階の関税率44.18%を宣告されたが、その後同社が異議申し立てを行い、これが認められ8月には20.86%へ引き下げられた。その後も米側への応訴代表として働き掛けを続けた結果、さらなる引き下げに成功した形だ。商務省の最終決定についてモテックは「予想通りだ」と指摘した。

 一方、モテックと共に応訴代表を務めた昱晶能源科技(ジンテック・エナジー)の関税率は27.55%となり、7、8月仮決定時の27.59%からわずか0.04ポイントの引き下げにとどまった。ジンテックの潘文輝総経理は「期待以下の結果だ」と無念をにじませた。同社は既に対米出荷の割合を減らしており、東南アジアに工場を建設して対応することも視野に入れている。

 その他業界各社の関税率はモテックとジンテックの平均値である19.5%となった。7月仮決定時の35.89%からほぼ半減したことになる。

 今回のAD税率は最終決定で、米国際貿易委員会(ITC)が来年1月29日に米産業界に被害が出ていると認定を下せば、2月5日に確定するというスケジュールだ。台湾の経済部国際貿易局(国貿局)は、ITCで「被害不成立」の結論が得られるよう引き続きメーカーを支援していくとした。国貿局関係者は、米国の台湾からの太陽電池製品輸入額は昨年6億5,000万米ドルにすぎなかったため、ITCへの応訴で良い結果も期待できると予想した。

中国メーカー、米国撤退も

 商務省の最終決定により、中国メーカーへの反ダンピング関税率は最高165.04%に達する。また中国製太陽電池モジュールは税率27.64〜49.79%の相殺関税も課される。中国メーカーは米国市場からの撤退も予想されており、台湾メーカーに恩恵が期待される。

 商務省は今回、台湾製太陽電池モジュールに中国以外の第三国産電池を使用した場合、反ダンピング関税が適用されないことも決めた。新日光能源科技(ネオソーラーパワー)は、台湾メーカーの対米輸出は今後、この製品組み合わせが最も競争力を持つことになると指摘。ただ台湾メーカーは太陽電池に比べてモジュールの生産能力が依然低いため、各社は近く、需要を満たすためモジュール生産ライン設置を加速させると予想した。

 ネオソーラーは昨年5月に台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)傘下の旺能光電(デルソーラー)を買収して以降、モジュール生産能力は250メガワット(MW)と台湾最大となっており、今回の商務省の決定で最も恩恵を受ける見通しだ。

海外拠点設置計画は継続

 台湾メーカーは反ダンピング関税率が引き下げられたものの、海外に生産拠点を設ける計画に変わりはないようだ。昇陽光電科技(ソーラーテック・エナジー)はマレーシアに、太極能源科技(タイナジー・テック)はベトナムに生産拠点を新設すると宣言しており、ネオソーラーも米国、東欧、東南アジアへの新拠点建設を計画している。 

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