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14年輸出受注過去最高、米国向けが7年ぶりに中国上回る


ニュース その他分野 作成日:2015年1月21日_記事番号:T00055033

14年輸出受注過去最高、米国向けが7年ぶりに中国上回る

 経済部統計処が20日発表した2014年通年の輸出受注額は、前年比6.7%増の4,728億1,000万米ドルで過去最高を更新した。主要国・地域別でも、日本向け以外は軒並み過去最高となり、米国向けの輸出受注額が1,185億3,000万米ドルと中国・香港向けの1,177億2,000万米ドルを上回り、7年ぶりに米国が最大輸出相手国となった。米国の景気回復、製造業回帰の動きが台湾に恩恵をもたらした反面、中国は経済成長の鈍化、および地場サプライチェーンの成長により台湾勢の受注が奪われた影響が出た。21日付経済日報などが報じた。

 製品別の昨年輸出受注額は、▽情報通信製品、1,270億8,000万米ドル(前年比9.4%増)▽電子製品、1,186億8,000万米ドル(12%増)▽機械製品、224億2,000万米ドル(11.6%増)──が過去最高となった。情報通信製品、電子製品は下半期にアップルの新スマートフォン「iPhone6」の販売好調、ノートパソコン需要回復などで組み立てや関連製品の受注が伸びた。特に電子製品は12月でプラス成長が18カ月連続となった。機械製品は、▽米国での投資意欲の高まり▽台商(海外で事業展開する台湾系企業)の生産拡大による設備購入増加▽自動車市場の好調による工作機械の伸び──がけん引した。

垂直統合からライバル関係に

 米国需要が大きな支えとなったこれら製品に対し、中国・香港向けが6割以上を占める液晶パネルを含む精密機器は322億7,000万米ドルで前年比6.3%減となった。昨年9月まで17カ月連続で前年割れ、10月にようやくプラス成長に転じたものの11、12月は再び2カ月連続でマイナスと全体的に低調に終わった。

 精密機器の他、中国が台湾から多く輸入していた従来型産業の金属製品、プラスチック・ゴム製品、化学品も昨年は軒並み低迷した。これについて林麗貞統計処長は、中国は国内でのサプライチェーン構築を政策に掲げており、その効果が表れ始めたためと分析した。これまで中台の各産業は、台湾が部品を供給し、中国が最終製品の生産を担うなどの垂直統合で成り立っており、過去数年、中国向け輸出受注が米国向けを上回る要因となっていた。しかし、中国のサプライチェーンが力をつけたことで関係性が崩れ始め、中国が競争相手に成長。これにより中国向け輸出受注が伸び悩んだと林処長は説明した。

 今後の中国向け輸出受注については、ファウンドリー、光学レンズ、スマートフォンの組み立てなどは好感しているが、ノートPC、タブレット端末の組み立ては既に影響を受けていると警鐘を鳴らした。

2年連続過去最高も

 経済部は今年の輸出受注が、2年連続で過去最高を更新する可能性を示唆した。モバイル、ウエアラブル(装着型)端末の新製品発売や、新興国でロー~ミドルエンド製品の販売好調が予測される他、第4世代移動通信(4G)、モノのインターネット(IoT)、データセンターの需要が情報通信製品、電子製品の輸出受注をけん引し、全体を押し上げるとの見方を示した。

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