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14年失業率3%台に、金融危機前の水準に改善


ニュース その他分野 作成日:2015年1月23日_記事番号:T00055089

14年失業率3%台に、金融危機前の水準に改善

 行政院主計総処が22日発表した2014年通年の失業率は前年比0.22ポイント改善して3.96%となり、7年ぶりに3%台を取り戻した。景気の安定回復により就業者数が伸び、08年の世界金融危機前年並みの水準となった。23日付経済日報などが報じた。

 昨年平均の就業者数は1,107万9,000人で前年比11万2,000人(1.02%)増加、失業者数は45万7,000人で2万1,000人(4.46%)減少した。労働参加率は0.11ポイント上昇の58.54%で、5年連続の上昇となった。

 主計総処国勢普査(国勢調査)処の羅怡玲副処長は、台湾経済は昨年に予想を上回る成長を見せたと指摘。工業生産指数、輸出受注、輸出などの経済指標が軒並み好調で、多くの雇用を創出し失業率改善に寄与したと述べた。世界銀行、国際通貨基金(IMF)などが今年の世界経済成長率は昨年を上回ると予測しており、台湾は今年も引き続き雇用改善が期待できると話した。

 台湾の失業率は金融危機前年の07年は3.91%だったが、08年に4.14%に上昇し、09年には5.85%まで悪化。10年以降低下し始めたが昨年まで4%以上で推移していた。

 なお、昨年12月の失業率は前月比0.1ポイント改善の3.79%で、12月としては過去14年で最も良く、単月としても07年3月以降で最も良かった。羅副処長は、今年は春節(旧正月)が2月に当たるため、1月に卸売・小売業で臨時雇用が増加し、同月の失業率はさらに改善すると予想した。

実質給与、わずか0.5%増

 雇用状況が改善している一方、主計総処の同日発表によると、サラリーパーソンの昨年1〜11月の経常性給与(基本給や固定手当など。賞与などは含まない)は1カ月平均3万8,161台湾元(約14万4,000円)で、同期としての過去最高となり、前年同期比伸び率は1.76%と00年以降で最高となった。ただ同期の消費者物価指数(CPI)上昇率が1.26%のため、実質経常性給与は0.5%増の4万5,550元にとどまり、依然99年の4万5,919元を下回った。

 台湾大学国家発展研究所の辛炳隆副教授は、台湾では失業率より低賃金の方が大きな雇用問題だと指摘。低賃金業種の多くはサービス業で、製造業よりサービス業に人気が集まる中、買い手市場で企業は賃上げ意欲に欠けると述べた。政府は製造業への就職を促すと同時にサービス業の付加価値向上を図るべきで、さもなければ賃金横ばいが今後も続くと警鐘を鳴らした。 

【図】