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中韓FTAの影響予想以下、液晶パネル・石化に安堵感


ニュース その他分野 作成日:2015年2月26日_記事番号:T00055582

中韓FTAの影響予想以下、液晶パネル・石化に安堵感

 中国と韓国が25日、自由貿易協定(FTA)に仮署名したことを受け、経済部は同日、台湾の産業界に対する打撃は想定していたほど大きくないとの見方を示した。昨年11月の実質妥結時点で、台湾製造業に最大6,500億台湾元(約2兆5,000億円)の影響をもたらすと試算していたが、今後1カ月以内にこれを見直す。韓国と競合関係にある液晶パネル、石油化学、工作機械、自動車業界は、関税率の引き下げ幅や対象品目数が懸念していたほどではなく、撤廃までの期間が長いことから安堵感が広がった。26日付経済日報などが報じた。


鄧振中経済部長は、過度に慌てることはないが、注意深く情勢を見守る必要があると述べた(25日=中央社)

 経済部は、中韓FTAは上半期に正式署名、来年1月1日に発効すると予測した。中国は発効後20年で韓国に対し7,428項目(税目の91%、輸入額の85%)、韓国が中国に対し1万1,272項目(税目の92%、輸入額の91%)の関税を引き下げる。

 ただ、中国の韓国製液晶パネルに対する関税は今後8年間5%のまま据え置かれ、来年発効したとして、2024年にやっと2.5%に引き下げられ、翌25年に0%となる。

 石化産業では、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)の関税が現行の6.5%から5年でそれぞれ4.2%、6%までしか引き下げられず、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂はゼロ関税まで20年かかる。経済部工業局は、石化産業が韓国に奪われる商機は10億~17億1,600万米ドルと予測。業界関係者も、打撃は全体で1,000億元に満たないと予想した。

 工作機械産業では、大部分の関税を据え置き、一部のみ5年で3割、または20年かけてゼロ関税まで引き下げる。

 自動車産業でも、一部関税を25%から5年で22.5%まで引き下げるだけだ。台湾は、中台の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)のアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ品目)に自動車部品が多く含まれる上、中国に部品工場を設置しているケースが多く、中韓FTAの影響は限定的とみられる。

物品貿易協定、「交渉有利に」

 液晶パネル大手、友達光電(AUO)と群創光電(イノラックス)は政府に対し、長期的な影響を見据え、ECFAの物品貿易協定にパネルを対象に含めてほしいと訴えた。

 石化業界団体、台湾区石油化学同業公会(石化公会)の陳宝朗理事長は、当面は予想していたほど深刻な打撃を受けないが、長期的にはやはり産業発展を損なうと予測。物品貿易協定の締結を急ぐよう政府に呼び掛けた。

 卓士昭経済部次長は、中韓FTAの内容が明らかになったことで、これを材料に中国との交渉で、韓国に対する以上の好待遇を引き出すと述べた。

 一方、経済部は、中韓は今後2年以内にもネガティブリスト方式でのサービス貿易協定の締結を目指しているとして、台湾の金融、電子商取引などのサービス業に打撃が予想されると懸念を示した。

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