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遠伝、台湾スターの買収決定か


ニュース 電子 作成日:2015年3月2日_記事番号:T00055607

遠伝、台湾スターの買収決定か

 通信キャリア大手の遠伝電信(ファーイーストーン・テレコム)は、新興キャリア、台湾之星移動電信(台湾スターテレコム)の全株式を買収することがほぼ決定したもようだ。買収額は現金、株式交換合わせ第4世代移動通信(4G)市場で過去最大の180億台湾元(約680億円)。遠伝は台湾スター買収により、携帯電話ユーザー数が910万件と2位の台湾大哥大(台湾モバイル、760万件)を大きく上回る他、保有する4G周波数は40MHz(メガヘルツ)と最大手の中華電信を抜くことになる。2日付工商時報が業界観測を基に報じた。

 観測によると、台湾スターの株式買収には遠伝の他、▽中華電信▽鴻海科技集団(フォックスコン)▽KDDI──が名乗りを上げ、第1回目の価格交渉は春節(旧正月、今年は2月19日)前に各社の提示条件が出そろったとされる。このうち中華電信と鴻海は現金による買収を提案したが、現金と株式交換の組み合わせによる遠伝の提示案に台湾スターの大株主が魅力を感じたもようだ。なおKDDIの提示価格は4社の中で最高だったものの、台湾スターは総合的な判断からKDDIへの売却を見送ったとされる。

 遠伝は台湾スターの最大株主である頂新国際集団が持つ株式50.1%を現金90億元で買収するとみられる。残りの株式は中国信託金融控股(中信金、CTBCフィナンシャル・ホールディング)、国泰金融控股、金仁宝集団、中影などから株式交換で取得する見通しで、買収額は1株当たり9元になると予想されている。株式交換比率は交渉中という。遠伝は今年の現金配当を1株当たり3.75元、配当性向を106.5%としており、中信金や国泰金などは現金配当が受けられるよう7〜8月までの取引完了を望んでいるようだ。

 市場関係者は、遠伝以上の条件を出す企業が現れない限り、遠伝の台湾スター買収は決定的と指摘した。

 台湾スターは2月26日に董事会開催を予定していたが急きょ中止しており、3月中の開催を検討中という。遠伝も3月に董事会の追加開催を視野に入れているようだ。

5G市場開拓も有利に

 遠伝の携帯電話ユーザー数は現在750万件、台湾スターは160万件。買収が決まれば遠伝のユーザー数は台湾モバイルを一挙に抜くことになる。

 また、遠伝は4Gの900MHz帯で周波数を保有していないが、台湾スターが同周波数帯で持つ10MHzを獲得でき、中華電信に対抗できるメリットもある。なお、遠伝が持つ4G周波数は計40MHzとなり、中華電信の35MHzを超えることになる。遠伝はリソース拡充でより高速の4Gサービスを提供できるようになる他、今後4.5G、5G市場の開拓でも有利になる見通しだ。

 台湾全体の4Gユーザーは現在400万件以上、全土カバー率は90%以上。遠伝は4Gユーザーが昨年末時点で約92万件だったが、今年は300万件達成を楽観視している。

【表】