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日本からの食品輸入、産地証明を一律義務化


ニュース 食品 作成日:2015年4月14日_記事番号:T00056412

日本からの食品輸入、産地証明を一律義務化

 衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)は13日、輸入を禁止している東日本5県以外の食品に対し都道府県を明記した原産地証明書の添付を、特定地域の▽水産物▽茶▽乳幼児用食品──など7種類の食品は放射性物質検査証明書の添付を義務付けると発表した。15日に公告し、5月15日から実施する予定だ。福島第一原子力発電所の事故後に輸入を禁止した、東日本5県で生産された加工食品の輸入・流通が発覚した問題を受けての措置で、日本から食品を輸入する企業にとって負担増とイメージ低下が懸念される。14日付中国時報などが報じた。

 潘志寛TFDA食品組長は、福島、茨城、栃木、群馬、千葉で生産した食品は現在も全て輸入を禁止していると強調。その他都道府県の食品は、日本政府、日本政府が認定した機関、TFDAが認定した機関による原産地証明書の添付を義務付けると説明した。

 このほか、東日本5県周辺の特定地域で生産した▽水産物▽茶▽乳製品▽乳幼児用食品▽キャンディー▽ビスケット▽穀類加工品──に対しては放射性物質検査証明書の添付を義務付ける。潘組長は、これら7種類の食品はこれまでの輸入検査6万件以上の中でも放射性物質の残留率が高く、子どもがよく口にするためと説明した。TFDAが昨年10月に提示していた食品のうち▽生鮮野菜・果物▽ミネラルウォーター▽海藻類──は対象に含まれなかった。

 なお、潘食品組長は特定地域の定義について、「現段階では答えられない。公告を見てほしい」と語った。

 TFDAは、もし輸入食品に不実の申告があれば、食品安全衛生管理法違反で3万台湾元(約11万5,000円)以上300万元以下の罰金を科すと説明した。もし原産地を偽り、輸入を禁止している東日本5県の食品だった場合は、最高2億元の罰金を科す。

農林水産省、「遺憾」

 農林水産省食料産業局輸出促進グループの担当者は14日ワイズニュースの取材に対し、これまで規制の緩和を求めてきたのに規制が強化され、科学的根拠に基づかない決定で遺憾だと述べた。しかも、カナダや豪州など13カ国が規制措置を全面解除したのに逆行する動きで、中国や韓国などその他の国・地域に影響する恐れがあると指摘。外交ルートを通じて、台湾に今回の措置の即時撤廃を求め、東日本5県の食品に対する規制緩和を申し入れたと話した。

 また、今回の措置によって、台湾にある日本食品を輸入する企業に検査の事務的、金銭的負担がかかるとも指摘した。リンゴなど贈答用果物やナガイモなど、農林水産物・食品の2014年の台湾向け輸出額は837億円で世界で3番目に多く、影響が大きいと強調した。日本で流通している食品は管理されているもので、台湾に安全性を理解してほしいと話した。

民間機関の証明発行に疑問視も

 田秋堇立法委員(民進党)は、日本政府が発行した原産地証明書であれば問題が発生した場合に求償できるが、いい加減な民間機関ならば消費者に悪影響が及ぶと疑問を呈した。

 宜蘭人文基金会の賀立維・技術顧問も、民間機関が発行した原産地証明書でよいのであれば「見せかけの管理」だと批判した。また、放射性物質を吸収しやすいシイタケなど野菜や果物も規制対象に含めるべきと提言した。ノリ、コンブ、ワカメといった海藻類が大量に日本から輸入されているが、福島第一原発からは依然、放射能に汚染された水が毎日海に漏れていると訴えた。

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