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PCB価格3%上昇、水不足が影響


ニュース 電子 作成日:2015年4月20日_記事番号:T00056522

PCB価格3%上昇、水不足が影響

 渇水に伴う給水制限を受けて、プリント基板(PCB)価格が3%上昇している。水不足による製品値上げは電子業界で初めて。DRAMや液晶パネルメーカーが追随する可能性がある。PCBは生産過程で大量の水を使用し、供給が滞れば電子業界のサプライチェーンに影響が及び、アップルやその他ブランドの最終製品の出荷に打撃を与える恐れもある。20日付経済日報が報じた。


ユニテックの張元銘董事長は、需要期の下半期はさらに需要が押し上げられ、今年通年の業績は昨年を上回ると予測した(17日=中央社)

 ハイエンドPCBの生産拠点は台湾に集中しており、生産の中心地である桃園市、新北市(板新、林口地区)では給水制限の第3段階、隔日断水(5日給水2日断水)を実施中だ。アップルやその他大手メーカーは今後のPCB供給への影響を見越して、続々と発注を早めたり、価格を上乗せして製品を確保している。

 高密度多層(HDI)基板メーカーの華通電脳(コンペック・マニュファクチャリング)、燿華電子(ユニテック・プリンテッド・サーキット・ボード)は現在、過去の同時期と比べて受注や設備稼働率が最も高まっている。多層PCBメーカーの楠梓電子(WUSプリンテッド・サーキット)も例年より状況が良く、フレキシブルプリント基板(FPC)メーカーの台郡科技(フレキシウム・インターコネクト)は設備稼働率が前年より7割以上高い。

 その他各社いずれも受注見通しが良く、製品の平均価格が上昇しており、非需要期ながら第2四半期の業績は期待できるとの見方だ。

受注見通し2倍に

 あるPCBメーカー関係者は、過去68年で最も深刻な水不足で、実際の需要が増えている上、顧客が供給を懸念して3週間以上早く発注していると話した。消費者向け電子製品のブランドだけでなく、モノのインターネット(IoT)、産業用コンピューター(IPC)、車載用、インターネット通信関連の顧客もPCB確保に躍起となっており、非需要期なのに受注に追われていると語った。

 また、通常の受注見通しは1カ月以下だが、今年は6〜8週間と倍近くに伸びていると指摘した。価格、量の両面でPCB需要は力強く、重複発注の可能性もないとみている。

梅雨入りは6月か

 先週末は東北部を中心に大雨が降ったが、経済部水利署によると、桃園市、新北市(板新、林口地区)に供給する石門ダム(桃園市、新竹県)の貯水率は20日午前8時現在24.27%と、ほぼ変わらなかった。高雄市、台南市に供給する曽文ダム(嘉義県)は貯水率18.28%にすぎない。

 水利署は、降雨があっても時間が短く、水がめに降らないので貯水量が増えないと説明した。特に高雄市、屏東県は昨年7月以来大雨が降っていないと警戒感を示した。干害中央災害対策センターの次回会議は5月4日に開催予定だ。

 中央気象局の辛在勤局長は17日、今年は空梅雨の可能性は低いが、梅雨入りは6月初旬になりそうだと話した。この予測通りとなった場合、現在行われている渇水対策措置はまだ1カ月以上続くことになる。 

【表】