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完全週休2日制、来年導入確定的に


ニュース その他分野 作成日:2015年4月24日_記事番号:T00056628

完全週休2日制、来年導入確定的に

 行政院会は23日、労働者の法定労働時間を2週84時間から週40時間に短縮する、いわゆる「完全週休2日制」を盛り込んだ労働基準法改正案を閣議決定した。同改正案は既に与野党の合意を見ているため、立法院通過に大きな困難はないとみられ、早ければ来年1月から施行される見通しだ。ただ産業界からは、企業の競争力が大幅に弱まり労働者にもデメリットになるとして、失望の声が聞かれた。24日付工商時報などが報じた。


民進党の立法委員は、5月1日のメーデーまでに改正案の審議を開始しようと呼び掛けた
(23日=中央社)

 労働基準法改正案の主な内容は、法定労働時間を短縮する一方で、時間外労働時間の上限を月46時間から54時間に引き上げ、国定休日は年間19日から12日に減らす。出勤簿の記録保存年限は1年から5年に延長する。これまで明文規定はなかったが、残業や休日出勤に対し労働者は代休を選択できると明文化する。給与明細の配布も義務付ける。

 陳雄文労働部長は、法定労働時間は年間104時間減るが、国定休日が7日(56時間)減り、時間外労働時間を現行より96時間増やせるので、可能な労働時間は実質48時間増えると指摘した。ただし、この48時間は時間外労働手当の支給が必要だとくぎを刺した。出勤簿は通常出勤、残業・休日出勤いずれも分単位で記録しなければならず、違反した場合の罰金は9万〜45万台湾元(約35万〜170万円)に引き上げる。

民間企業の半数が導入

 陳労働部長は、立法院の可決を経て、来年元日か労働節(メーデー、5月1日)に施行すると述べた。2001年の公務員への完全週休2日制導入後、民間企業は50.1%が追随し、労働者の58%に適用されていると指摘した。

 民進党の立法院党団(議員団)は、与野党が既に改正案について合意していると指摘。民進党として4月30日の審議入り、今会期の可決を目指すと表明した。国民党の蔡錦隆立法委員も、できる限り早く台湾全土の労働者に恩恵を届けたいと語った。

 なお、陳労働部長は国定休日が7日減ると説明したが、内訳は▽1月2日(中華民国開国記念日の翌日)▽3月29日(青年節)▽9月28日(教師節)▽10月25日(台湾光復節)▽10月31日(蒋介石元総統誕生日)▽11月12日(孫文誕生日)▽12月25日(憲政施行記念日)──で、現状は休日にしていない企業がほとんどだ。

搾取防止、代休に期限設定

 改正案には時間外労働手当や代休に関する規定を強化し、企業による労働者搾取を防ぐ狙いがある。

 改正案によると、労働者は残業、休日出勤について、時間外労働手当の支給でなく、代休を選択することもできる。ただし、10日以内に申請が必要で、企業は人手不足などを理由に代休の選択を認めなくてもいい。なお、代休の付与は時間外労働手当と同様、実際に働いた時間のうち2時間までは3分の1、2時間以降は3分の2を割り増して計算する。例えば時間外労働時間が1時間ならば、代休の付与は1時間20分になる。ただし、6カ月以内に代休を取得できなかった場合、または労働契約を終了する場合は、企業は時間外労働手当として支給しなければならない。違反の罰金は2万〜30万元。

 一方、企業は労働者に7日間に1日の休日を与えなければならないと規定されており、この「法定休日」に出勤した場合は賃金の2倍を支給するだけでなく、7日以内に代休を付与しなければならない。台風や地震など天災や突発的な事件で法定休日に労働を命じた場合も同様だ。

 このほか、夜勤、準夜勤などシフト勤務は11時間以上の間隔を空けなければならないとしている。

企業と労働者の「ルーズルーズ」?

 中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長は、時間外労働時間の上限を月60時間に引き上げるよう求めていたが、これでは受注が海外に移転し、台湾の就業機会が減少すると述べた。中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、労働者の待遇改善を意図したのだろうが、実際は労働者が割を食うと話した。中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長は、労働組合の意見だけを聞いた改正で、企業と労働者にとってウィンウィンでなく「ルーズルーズ」だと批判した。

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