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元高円安が加速、16年ぶり1元=4円へ


ニュース 金融 作成日:2015年5月22日_記事番号:T00057131

元高円安が加速、16年ぶり1元=4円へ

 21日の台湾元/日本円相場は1元=3.95円と前日比4%上昇し16年ぶりの円安水準となった。市中銀行の担当者は、昨年10月以来の円安で日本円への両替が増え続けていると話した。元高円安は台湾人の日本観光を後押ししており、交通部観光局の統計によると1〜4月の訪日旅行者は前年同期比26%増加した。22日付工商時報などが報じた。


外為担当者は、1元=2.5円の円高だった11年9月当時と比べると、1万元の両替で約1万5,000円多く受け取れると話した(YSN)

 中央銀行によると21日、対米ドルで台湾元は30.65元、日本円は121.01円となり、台湾元と日本円のクロスレートは1元=3.95円となった。

 銀行の外為担当者は、年初来、台湾元が対米ドルで3.48%上昇した一方、日本円は対米ドルで1.15%下落し、1998年8月以来16年9カ月ぶりの円安・台湾元高水準を付けたと説明した。昨年10月末に日本銀行が追加的金融緩和に踏み切り、1元=3.75円まで円安が進んだ際、日本円への両替が殺到しその様子が大々的に報じられたが、今回は一段と円安が進行した。

 台北富邦銀行襄陽支店の窓口担当者は、日本円への両替は当時より多いと話した。現在日本円に両替して預金し、将来、口座から日本円のまま引き出す場合、手数料はその日の電信売相場(TTS)と 現金売相場(CASH SELLING)のレート差に引き出す日本円の金額を掛けた数字を台湾元にしたものと説明した。例えば、数字が270となれば、手数料は270台湾元(約1,070円)だ。一方、日本に送金する場合、同行の手数料は100〜800元、電信料は220元だが、日本の受け取り銀行でも別途手数料がかかると指摘した。

台湾人のチャーター便状態

 交通部観光局の統計によると、昨年の台湾人の訪日旅行者は282万9,800人と前年比28%増加した。今年1〜4月も前年同期比26.38%増の114万238人と、依然高い伸び率を保っている。海外旅行先としては、日本は中国に次いで2番目に渡航者が多い。

 日本政府観光局(JNTO)の統計によると、昨年の訪日旅行者1,341万人(前年比29.4%増)のうち台湾人は最も多かった。2位以下は▽韓国人(275万5,300人、12.2%増)▽中国人(240万9,200人、83%増)──。

 観光局は、台湾人にとって日本は従来より人気がある旅行先だが、2005年よりの査証(ビザ)免除に加え、昨年アベノミクスで円安が進んだ上、外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充で、訪日意欲が大幅に向上したと指摘した。格安航空会社(LCC)などによる日本路線が続々と増え、航空券の料金が下がっており、日本から台湾に戻る機内は台湾人だらけで、まるでチャーター便だと表現した。

 海外旅行の専門家は、日本旅行での両替について、現地で銀行の現金自動預け払い機(ATM)を使って現金を引き出せば、レートが最も良く、手数料もかからないと指摘した。特に、銀行の営業時間内にATMから日本円の現金を引き出せば、レートが優遇されると指摘。台湾のクレジットカードで買い物をして円安が進んだ場合、台湾元への換算が利用日より後になるので、円安のメリットを享受できるとした。

 一方、観光局の統計によると、今年1〜4月に訪台した日本人旅行者は50万3,804人と前年同期比4.9%減少した。昨年通年は163万4,790人で前年比15%増だった。観光局は、円安で日本人の海外旅行意欲が減退したと指摘した。

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