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中国の台湾TVパネル調達17%増、生産拡大を要求


ニュース 電子 作成日:2015年5月29日_記事番号:T00057263

中国の台湾TVパネル調達17%増、生産拡大を要求

 中国の大手液晶テレビメーカー6社から成る調達団を率いて来台した中国電子視像行業協会(CVIA)の白為民副会長は28日、今年の台湾からの液晶パネル調達量は前年実績比17.4%増の2,700万枚で、過去3年で最高になるとの見通しを示した。調達額も45億米ドルへと27.9%増えるとの予測だ。中国では今年、第8.5世代パネル生産ライン8本が量産入りする見通しだが、中国のテレビ用パネル需要の48%しか満たせないとして、台湾大手に生産拡大を求めた。29日付工商時報などが報じた。


白副会長(左2)は、中国は今後もパネル生産能力を拡充するが、中台が標準規格制定で協力し、ハイエンド技術を強化すれば、世界市場で地位を高められると語った(28日=中央社)

 白副会長の来台は今年で7年連続だ。白副会長は、中国のテレビ用パネル需要の52%は輸入に頼る必要があり、需要全体の30%を台湾に期待していると指摘した。また、今年は友達光電(AUO)、群創光電(イノラックス)から、超高解像度4K2Kパネルなどハイエンドパネルの調達規模を拡大したいと述べた。

 中国は昨年、台湾からテレビ用パネルを2,700万〜2,800万枚、金額ベースで45億米ドル調達する予定だったが、実際は2,300万枚、35億1,700万米ドルとかなり下回った。これについて白副会長は、昨年は大型、高解像度パネルの需要拡大ペースが速過ぎて、台湾の生産が追い付かなかったためと説明。AUO、イノラックスの幹部に直接電話し、 中国に多めに パネルを回してほしいと依頼していたことも明かした。

 白副会長によると、中国のテレビ保有台数は約5億台で、うち2億台余りが依然ブラウン管テレビのため、液晶テレビへの買い替え需要は大きいとした。中国の今年1〜4月の液晶テレビ出荷台数は前年同期比2.5%増の4,700万台余りで、今年通年も安定成長が見込めると語った。

台湾2強、慎重に生産拡大

 白副会長の生産拡大要求に対し、AUO、イノラックスはあくまで市況を見ながら従来の生産拡大計画を進める方針だ。中国では京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)が最近、8.5世代、10.5世代工場を1基ずつ建設すると発表した他、深圳市華星光電技術(CSOT)なども増産を計画しており、パネル市場が供給過剰に転じれば割を食うの台湾2社の方だからだ。

「8Kパネルで韓国に対抗を」

 一方、市場調査会社、ディスプレイサーチの謝勤益・市場研究総監は、AUO、イノラックスは8Kパネル開発を加速し、今年末に同パネルの量産を計画するサムスン電子、LGディスプレイ(LGD)との競争に備えるよう訴えた。

 謝総監は、4Kパネル市場で台湾に遅れを取り、2年かけてやっと追い付いた韓国2社は、8Kパネル市場では今年初めに製品を展示するなど、商機獲得に先手を打とうとしていると指摘。また、4Kパネルの光透過率4〜5%に対し、8Kパネルはわずか2%で、電力消費量が大きく、バックライトモジュール(BLM)の生産コストも大幅に上昇するなど、生産の技術難易度が高いため、銅リードフレームやIGZO(酸化物半導体、イグゾー)技術を導入する必要があるが、台湾パネルメーカーは韓国に比べこららの技術導入がかなり遅れていると警鐘を鳴らした。

【図】