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台湾マクドナルドが経営権売却、直営345店移譲へ


ニュース 商業・サービス 作成日:2015年6月25日_記事番号:T00057755

台湾マクドナルドが経営権売却、直営345店移譲へ

 ファストフード最大手の台湾マクドナルドは24日、経営権を売却すると発表した。米本社による直営方式を改め、有望な売却先に既存の直営店345店を代理権授与に近い形で移譲する。台湾マクドナルドは市場の競争激化などで2年連続赤字を計上しているとされ、経営モデルを切り替えて、ライセンス収入などで利益を確保したい考えとみられる。25日付工商時報などが報じた。


台湾マクドナルドは、台湾から撤退することはないと強調した(同社リリースより)

 台湾マクドナルドは1984年に台北市の民生東路に台湾1号店を出店した。その後、店舗数は95年に100店、97年に200店へと拡大。現在は台湾全土に414店を構え、うち69店はフランチャイズ店だ。従業員数は約2万人、売上規模は日本、オーストラリア、中国に次ぐアジア太平洋地域4位とされる。

 台湾マクドナルドの身売りは、業績不振にあえぐ米本社の再建戦略の一環だ。マクドナルドは昨年、中国での期限切れ鶏肉の使用発覚などで客足が離れ、02年以来12年ぶりの減収となった。これを受け先月、進出国・地域の事業を市場の特性に応じた管理体制に改める再建策を発表。18年までに世界の店舗数の1割弱に当たる3,500店をフランチャイズ化し、フランチャイズ店の比率を現在の81%から90%に高め、管理体制をスリム化させることで年3億米ドルのコスト削減を目指す考えを示していた。

経営環境が悪化

 経営権売却を決めた背景にはこの他、台湾ファストフード市場の競争激化や、台湾で食品汚染事件がここ数年頻発したこと、経営コストの上昇などもあるとみられる。

 台湾にはファストフード業者が昨年末時点で248社あり、総店舗数は1万8,670店。米国式ファストフード店の増加によって、台湾マクドナルドのシェアは侵食されてきた。業界関係者によると、大手ファストフード業者のうち、昨年利益を確保できたのはモスバーガーだけだった。

 また、昨年発覚した頂新国際集団の不正食用油事件の影響で、食品の安全に対する消費者の意識が高まり、フライドポテトなどの揚げ物は以前ほど売れなくなった。

 さらに、店舗賃料や人件費の高騰で経営コストが上昇した。サラリーパーソンの給与水準が停滞する中では、食材価格や水道光熱費などが上昇しても値上げには踏み切りにくく、経営を苦しめたもようだ。

有力売却先は食品大手

 今後は台湾マクドナルドの経営を誰が引き受けるかに注目が集まるが、同社の経営権買収には控えめに見積もっても112億台湾元(約450億円)が必要な他、買収後も毎年売上高の6%をライセンス費用として支払う必要があるとされる。このため、一定の資金力を有し、飲食業経営の経験もある企業が有望視されている。

 台湾マクドナルドは「売却先は決まっていない」とコメントしたが、観測によると既に目星は付けており、資産の鑑定などを進めているとされる。

 業界では、売却先の有力候補として食品大手の▽統一企業(ユニプレジデント)▽大成長城企業▽頂新集団──や、▽セブン−イレブンを展開する統一超商(プレジデント・チェーンストア)▽全家便利商店(台湾ファミリーマート)▽スーパーマーケットの全聯福利中心(Pxマート)──などの名前が挙がっている。しかし、各社とも「関知しない」「買収はあり得ない」などとして観測を否定している。ただ、台湾マクドナルドのある食材サプライヤーは、各社とも授権契約の内容を見てから利益が見込めるかを判断する考えだと指摘した。

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