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鴻海2桁成長に自信 、インダストリー4.0に注力


ニュース 電子 作成日:2015年6月26日_記事番号:T00057783

鴻海2桁成長に自信 、インダストリー4.0に注力

 EMS(電子機器受託生産サービス)最大手、鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は25日株主総会で、今年の売上目標は前年比15%増で、利益は前年の22%増を維持する自信があると語った。成長のけん引役として▽インダストリー4.0(第4次産業革命)▽スマートフォン・ロボット▽インド・中国市場──などを挙げ、鴻海グループにとって今後2〜3年が転換の鍵になると強調した。26日付経済日報などが報じた。


鴻海の株主総会は午前9時に開始し、郭董事長(中)の話や個人投資家の相次ぐ質問で、午後4時前にやっと終了した(25日=中央社)

 郭董事長は、鴻海グループの経営ビジョンとして、インダストリー4.0に関連した▽クラウド▽モバイル▽IoT(モノのインターネット)▽ビッグデータ▽自動車を含むスマート化▽通信──の「雲移物大智網」およびロボットを掲げた。世界のトレンドに鴻海の強みが合致しているため、今後の成長に自信が持てると説明した。

 スマホ需要鈍化の懸念について郭董事長は「単なる踊り場」と否定。スマホユーザーは6歳の子供から70歳のお年寄りまで広がっており、今後10〜20年で自動車の鍵やロボットのリモコンまで用途も拡大すると話した。世界70億人が2年に1回買い換えれば年間需要は35億台の計算で、成長しないわけがないと指摘した。

インド30年後に期待感

 郭董事長は、最近目にしたレポートの内容として、日米や欧州連合(EU)などのGDP(国内総生産)が現在の世界全体の73%から2050年には30%未満まで下がり、インドや中国などが勢力を伸ばすと指摘し、これら市場の内需を重視していると説明した。

 特にインド投資計画を何度も口にし、「今年はインド進出元年だ」と表現した。ソフトバンクとの再生エネルギー合弁会社設立計画の他、阿里巴巴集団控股(アリババ・グループ・ホールディング)と共同出資する予定のインドの通信キャリアが来週、鴻海を訪問すると明かした。インドに工場はまだないが、今後、中国・貴州工場を移転する可能性も示した。

シャープへの出資意欲、不変

 シャープとの資本業務提携が実現する可能性が再浮上していることについて郭董事長は、シャープは(提携を発表した12年3月から)社長が3年で2回交代するなど依然複雑で、メンツの問題もあると理解を示した。もし提携できればサムスン電子との距離を縮められ、辛抱強く待つと述べた。

 郭董事長はこの他、中国とのサービス貿易協定、物品貿易協定を早急に締結、発効しなければ、台湾は優位性を喪失すると警告した。一方、協定発効後には中台の金融決済システムを構築し、中国の資金を台湾株式市場に呼び込めば活性化の効果を生み、台湾企業が海外で上場する必要がなくなると語った。

 来年年初の総統選挙についても、経済を理解できるリーダーでなければ、資本市場は活性化できないと指摘した。

労働団体は「カス」

 台湾や香港の労働団体が先日、鴻海は労働者を搾取しており、工場で使用している化学物質で白血病を発症するなど職業病が多過ぎると抗議した。これに対し郭董事長は、英国紙がアップルや鴻海などの中国工場の労働条件を批判、台湾や香港の蘋果日報に転載された上、カネを出して労働団体を煽っているとの認識を示し、「走狗(他人の手先)」「カス」などと怒りをあらわにした。


台湾と香港の労働団体は22日から搾取工場反対運動を行っており、株主総会当日は会場の外に集結した(25日=中央社)

 台湾を代表するグローバル企業の経営者として行き過ぎの発言として、台湾の大手紙は26日の朝刊一面で大々的に取り上げた。