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サムスンのスマホ不振、台湾IC設計に焦り


ニュース 電子 作成日:2015年7月1日_記事番号:T00057865

サムスンのスマホ不振、台湾IC設計に焦り

 中国など新興国のスマートフォン市場で苦戦が続くサムスン電子は最近、旗艦機種「ギャラクシーS6」の販売不調を受けてスマホの発注量を半減させた。このため台湾のIC設計業者は、小米科技(小米、シャオミ)など中国大手スマホブランドからの受注に向けた動きを強めている。中国スマホブランドからの受注は台湾IC設計メーカーの業績を左右するほど重みが増しており、受注量を増やして下半期の業績改善につなげたい考えだ。1日付電子時報が報じた。

 韓国スマホブランドと緊密な提携関係を持つ台湾IC設計メーカーは、多くが液晶ディスプレイ(LCD)ドライバICとアナログICサプライヤーで、聯発科技(メディアテック)を筆頭に▽聯詠科技(ノバテック・マイクロエレクトロニクス)▽奇景光電(ハイマックス・テクノロジーズ)▽立錡科技(リッチテック・テクノロジー)▽矽創電子(シトロニクス・テクノロジー)▽義隆電子(ELAN)▽昂宝電子(オンブライト・エレクトロニクス)──などを含む。

 これらIC設計メーカーはかつて、サムスンやLGエレクトロニクスなど韓国スマホブランドからの受注で業績を大きく伸ばした他、韓国ブランドからの受注実績をてこに中国など新興国のスマホチップ市場でシェアを拡大してきた。

 しかし、台湾のアナログICサプライヤーによると、サムスンは最近、スマホ発注量の下方修正圧力にさらされ続け、ギャラクシーS6ですら在庫水準が高く、消化に1〜2四半期かかるとみられる。

 「サムスン効果」が大きく薄れた結果、台湾のIC設計業者は第3四半期の業績回復に向け、小米や華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)、広東歩歩高電子工業(BBKエレクトロニクス)、広東欧珀移動通信(OPPO)など中国スマホブランドからの受注獲得を急いでいる。

 なお、台湾のLCDドライバIC業者によると、サムスンはギャラクシーS6の販売不調で、同機種向けに確保していた有機EL(OLED)パネルの生産能力が約半分余った。このためサムスンが中国スマホブランドへのOLEDパネル採用働き掛けを強化して、在庫消化も進めた結果、中国ブランドの多くが第3四半期に同パネル搭載の新機種を発売する見通しとなっている。中国など新興国でミドル〜ハイエンドスマホの出荷台数が増加する中、中上位機種を手掛ける中国スマホブランドから受注できた台湾IC設計メーカーは、今後の業績見通しを楽観視している。

TSMCのアップル受注に影響も

 世界スマホ市場におけるアップルのiPhoneのシェアが高まる一方、サムスンのシェアは昨年から下落し続けてきた。市場調査会社、ガートナーの統計によると、サムスンのスマホ販売台数シェアは昨年24.7%で、前年比6.2ポイント下落した。今年第1四半期のシェアは24.2%で、前期比4.3ポイント上昇したが、前年同期比では6.2ポイント下落した。

 サムスンはシェア下落に当面歯止めをかけられず、今後はファウンドリー事業を一段と強化して業績改善を図るとみられる。アップルがサムスンをスマホ市場でライバル視せず、同社へのプロセッサー発注を増やすことになれば、台湾積体電路製造(TSMC)や聯華電子(UMC)、世界先進積体電路(VIS)など台湾ファウンドリー業界に影響するとの懸念も出ている。

【図】