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サムスン10ナノ16年末量産へ、TSMCをリード


ニュース 電子 作成日:2015年7月24日_記事番号:T00058328

サムスン10ナノ16年末量産へ、TSMCをリード

 サムスン電子はこのほど、2016年末をめどに10ナノメートル立体構造トランジスタ(FinFet)製造プロセスによる量産を開始すると明らかにした。17年第1四半期に10ナノ量産を予定する台湾積体電路製造(TSMC)や、同年下半期に予定するインテルより早く、先進プロセス競争で世界に先駆ける構えだ。市場では、サムスンとTSMCが再び、アップル、クアルコムなど大口顧客からの受注争奪戦を繰り広げると予想されている。24日付経済日報などが報じた。

 サムスンの10ナノ生産スケジュールは、同社ファウンドリー部門マーケティング担当シニアディレクター、ケルビン・ロー氏が動画共有サイト、YouTube(ユーチューブ)で明らかにした。ロー氏は、同社は6月に10ナノFinFetをプロセスロードマップに盛り込んだと説明。その上で、モバイル端末、消費者向け電子製品、ネットワーク製品のチップ設計企業に対し、同社の10ナノFinFetプロセスを採用すれば、大幅な性能向上、省電力化を実現できるとアピールした。

 一方、TSMCは先週、10ナノは17年第1四半期に量産出荷すると発表した。インテルは10ナノ量産を17年下半期に延期すると発表したため、TSMCが10ナノ量産一番乗りを果たすと予想されていたが、サムスンがこれを上回るスケジュールを発表したため、TSMCは先進プロセスの開発レースで2位に転落した格好だ。

 証券会社は、TSMCは16ナノ量産入りが今年第3四半期とサムスンの14ナノに2四半期の後れを取り、アップルの次世代プロセッサー「A9」の大部分やクアルコムの「スナップドラゴン820」の受注をサムスンに奪われたと指摘。このためTSMCは10ナノ量産入りを急ぎ、アップルの次々世代「A10」プロセッサーの受注を狙っていたが、サムスンは10ナノ競争でも一歩も引くつもりはないと分析した。

7ナノでも油断できず

 TSMCは7ナノ開発レースでも油断できない。同社は18年第2四半期に7ナノが量産入りするとの見通しを示しており、量産時期が18〜19年になるとみられるインテルをリードしているようだ。ただ、サムスンは先日、IBMと7ナノチップの共同開発に世界で初めて成功したと発表した。量産予定時期は明らかにしていないが、外資系証券会社のアナリストは、7ナノ競争でもサムスンがTSMCの最大のライバルになると予想した。

クアルコム、サムスンにチップ売却も

 一方、クアルコムはこのほど、業績不振を受けて社員全体の15%に相当する約4,700人の人員削減を発表した他、チップ事業のスピンオフ(分離・独立)も検討していると明かした。これについてマレーシアの大手銀行、マラヤン・バンキング(メイバンク)の劉華仁アナリストは、クアルコムはリストラを実施しても聯発科技(メディアテック)などの追い上げを抑えるのは困難なため、サムスンやインテルへのチップ事業売却は比較的実現性のある選択肢だと指摘。クアルコムはTSMCの昨年の売上構成比の20%以上を占めており、仮にチップ事業がサムスンの手に渡れば、TSMCへの影響は計り知れないとの見方を示した。

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