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台プラで贈収賄発覚、林振栄・台塑前総経理ら20人処分


ニュース 石油・化学 作成日:2015年7月27日_記事番号:T00058353

台プラで贈収賄発覚、林振栄・台塑前総経理ら20人処分

 台塑集団(台湾プラスチックグループ)は、ポリ塩化ビニル(PVC)フレキシブルコンテナバッグの発注をめぐり、長期にわたり収賄があったとして、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス、台塑)の林振栄・前総経理(63)をはじめ、20人以上を懲戒免職処分などとした。台プラグループは27日午前、従業員の贈収賄への関与を認める声明を発表し、台北地方法院検察署は同日、捜査を開始した。「経営の神様」と呼ばれた創業者、王永慶氏(2008年没)が築き上げた清廉な企業文化で知られる台プラグループにとって、設立61年で最も深刻な汚職事件だ。27日付蘋果日報などが報じた。


台北市敦化北路にある台プラグループのビル。主要4社の株価は前日比0.27〜2%下落した(中央社)

 事件の関係者は、台塑の他、台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー)20人、南亜塑膠工業(南亜プラスチック)2人など、経営幹部、管理職、一般社員まで幅広い。処分対象は今後数十人まで増えるとみられている。

 同紙によると、台プラグループは、24日夜に辞任を発表したばかりの林・前台塑総経理、調達に関する大きな権限を擁する朱金池・前総管理処発注センター協理など20人以上が、あるフレコンバッグメーカーから長期にわたり優遇を受け、そのメーカーが受注できるよう便宜を図ったと書かれた匿名の通報を受け取った。入札談合は2008年より始まったと記され、通報文書には現金、物品などの贈収賄リストが添付されていた。

 7月1日に就任した王瑞瑜・総管理処総経理は、部下に同メーカーに関する入札書類を内密に調べさせ、贈収賄リストと照らし合わせた結果、幹部が贈収賄に関わった疑いがあると判断した。

 王総管理処総経理は23日夕方、王文淵台プラグループ総裁と林健男・台塑董事長に経緯を報告した。24日朝、台塑は林総経理を除く幹部で会議を開催した。会議終了後、林総経理が辞任するとの情報がグループ内に流れた他、台化、台塑高雄工場、総管理処などの主管が次々と突然の免職を告げられ、台プラグループを揺るがす異例の事態となった。

 台プラグループは同日夜、林総経理が家庭の事情で辞任すると発表した。7月1日に総経理に就任したばかりだった。蘋果日報の取材に対し同社は、贈収賄の関係者は就業規則違反で懲戒免職などの処分を下すと発表しており、現在は法務部門が確認中で、個別に法的措置を取ると説明した。

懲役10年も

 ある従業員は、現段階で伝えられている話では、贈収賄は春節(旧正月)など季節の贈答品や商品券がほとんどで、大金が懐に入ったという話は聞いたことがないし、メーカーとの食事に同行した事務処理担当の女性まで免職になるなんてと話した。一方、総管理処は、規律に違反した現金の受け渡しがあった証拠をつかんでいると強調した。

 台プラグループは、00年に台塑網科を設立し、あらゆるサプライヤーが競争入札に参加できるオンラインシステムを構築した。米軍のパスワードシステムを採用し、コンピューターで落札が決まるなど人為的操作を排除、2万社以上が登録し、鉄パイプ1本の調達にも80社以上がオファー価格を提示するほど、調達制度は透明化していると強調した。

 ある主管は、台プラグループが大きくなるにつれパフォーマンスに対する報奨は小さくなっている上、上場企業の他社と比べると幹部の給与水準は高くないので、誘惑に負けてもおかしくないと話した。

 企業の幹部が職権を利用して、長期にわたり金銭や物品などのリベートを受け取るなどの癒着があった場合、弁護士によると、刑法の背信罪(背任罪)で5年以下の懲役が科される。上場企業の幹部であれば、証券交易法違反で3〜10年の刑期が加重され、贈収賄の金額が1億台湾元(約3億9,000万円)を超えれば、7年以上が加重される。