ニュース 電子 作成日:2015年7月30日_記事番号:T00058435
マイクロソフトは29日、新OS(基本ソフト)「ウィンドウズ10」の提供を開始した。「10」のリリース待ちで低迷していたパソコン市場を活気付け、台湾のブランド・受託生産メーカーなどが恩恵を受けると予想される。ただ、「10」が「8」同様に不評を買うことになれば需要創出効果は期待できず、台湾電子業界は下半期に厳しい冬を迎えるとの見方も出ている。30日付聯合報などが報じた。
「ウィンドウズ10」はPC、タブレット端末、スマートフォン全てに搭載可能で、複数の端末を使うユーザーはアプリの共用などで利便性が高まる(台湾マイクロソフトリリースより)
「ウィンドウズ10」は世界190カ国・地域でインターネットを経由しての提供が始まった。「7」と「8.1」の利用者は無料で「10」にアップグレードできる。台湾ではユーザー700万件以上が1年間の期間限定で無料アップグレードの対象となる。
「ウィンドウズ10」の最大の特徴はインターフェースで「7」と「8」の強みを融合した点だ。「7」にはあったが「8」で削除されたスタートメニューを復活させ、「8」で好評だった「ライブタイル」機能を残した。この他、顔や目の虹彩、指紋を使った生体認証によるサインインを可能にする「ウィンドウズHello」機能を搭載。パスワード入力よりも簡単で安全だという。
受託メーカー、Q3業績回復に期待
「ウィンドウズ10」搭載PCは今後本格的に発売される。上半期は「10」リリース前の買い控えでPC需要が低迷したが、6月末よりPCブランドからODM(相手先ブランドによる設計・製造)業者への発注が回復。証券会社は広達電脳(クアンタ・ コンピュータ)、仁宝電脳工業(コンパル・ エレクトロニクス)、緯創資通(ウィストロン)などは受注増で第3四半期に業績回復が見込めると予想した。
マイクロソフトは世界のウィンドウズ端末15億台のうち、10億台を3年以内に「ウィンドウズ10」に切り替える目標だ。うち6億台は出荷後4年以上が経過したPCからの買い替え、2億台は「7」と「8.1」からのアップグレード、残り2億台は新機種発売効果で、PCブランドと受託メーカーが需要を取り込むと予想されている。
新機種販売に逆風も
一方、市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)の王靖怡ノートPCアナリストは、上半期にノートPC市場で在庫がたまった他、マイクロソフトが現在主流の15.6インチ製品への「ウィンドウズ10」ライセンス料を高めに設定していることが、下半期の新機種販売に不利に働くと予想した。トレンドフォースは今年通年のノートPC出荷台数を前年比5%減の1億6,800万台と予想している。
PC業者、事業見直しの時
マイクロソフトが「ウィンドウズ10」の無料アップグレードを打ち出したことは、ソフトのOS販売でなく、クラウドなどOS以外の部分で稼ぐ経営にかじを切っていることを意味する。工商時報は、OS搭載のハードで稼いできた台湾のPCブランドや受託メーカーは発想の転換を迫られると指摘。マイクロソフトのビジネスモデル転換に合わせ、台湾の関連企業は対応策を模索すべきだと訴えた。
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