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HTCが15%人員削減、経営不振で苦渋の選択


ニュース 電子 作成日:2015年8月14日_記事番号:T00058731

HTCが15%人員削減、経営不振で苦渋の選択

 スマートフォン大手、宏達国際電子(HTC)は13日、年内に15%の人員を削減すると発表した。世界全体の従業員は1万5,000人で、2,250人に相当する。人員削減に踏み込んだのは株式上場以降で初めてだ。HTCは2009年からのスマホブームに乗り、11年には世界シェアが10%まで拡大したが、ハイエンド機種はアップルとサムスン電子、ロー〜ミドルエンド機種は中国ブランドに成長を阻まれ、今年第2四半期にはシェアが2%まで縮小していた。14日付経済日報などが報じた。


リストラ発表で、HTC株価は14日の取引開始直後に49.45台湾元(約190円)まで下落し、過去最低を更新した。その後は持ち直して52.1元で引けた(13日=中央社)

 王雪紅(シェール・ワン)董事長は従業員に宛てた文書の中で、経営効率化で利益を取り戻すため、営業費用を35%削減する苦渋の選択を迫られたと説明した。人員削減の他、▽ハイエンドスマホ▽バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)▽スマートライフ──に事業再編を行う。

 市場では、HTCは8月末に引き留めたい人材にボーナス(賞与)を支給して、それ以外の従業員の自主退職を促す他、経営幹部も入れ替えると予想されている。

新興市場に出遅れ

 米国の情報サイト、ビジネスインサイダーは、アップルとサムスンが近年、ハイエンド機種で米国、英国などの先進市場を制覇した一方、戦いに敗れたHTCは中国やインドなど新興市場にかじを切り直すのが遅過ぎ、これら市場でも小米科技(小米、シャオミ)、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)に後れを取ったと指摘した。

 アンドロイド機種は、サムスンやソニー、LGエレクトロニクスがスマホ搭載カメラの画素数引き上げに注力した中、HTCは旗艦機種「HTC One M7」の2年後に発売した「M9」でやっと2,000万画素を採用するなどスペックが他社より遅れていること、ユーザーに特別なサプライズを与えられないイノベーション欠如などを問題点に挙げた。 

 なお、HTCは同日、オランダで「HTC One M9+」の販売を停止したと発表した。主要通信キャリアの第4世代移動通信システム(4G)LTEの周波数帯には対応するが、残る現地2社の周波数帯に対応しないためと説明し、オランダでの販売台数は少ないので業績に影響はないと強調した。

「身売りが最善」

 華南永昌証券投顧の儲祥生董事長は、HTCはスマホ市場での地位が低下する一方で、巻き返しできる可能性も小さくなっていると指摘。身売りが最善の選択で、同社が擁するスマホのハイエンド機種の技術とブランド価値は、中国ブランドに欠けているため、中国メーカーと合併すれば発展の余地は大きいとの考えを示した。

 また、バーチャルリアリティー端末市場もグーグルなど大手が早くから参入しているため、HTCが成功する可能性は高くないと指摘した。