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台湾元安誘導明確に、1ドル=34元に期待感


ニュース 金融 作成日:2015年8月18日_記事番号:T00058785

台湾元安誘導明確に、1ドル=34元に期待感

 17日の台湾元相場は前日比0.253元安の1米ドル=32.621元で取引を終え、世界金融危機の影響を受けた2009年9月以来、約6年ぶりの元安水準となった。今年の域内総生産(GDP)成長率予測が2%を割り込んだ中、政府が元安誘導の意思を明確にしたもので、中央銀行(中銀)は韓国ウォン安をにらみつつ人民元の大幅切り下げに追随した。証券会社は、1米ドル=34元まで元安が進行すれば、電子業界に有利になると指摘した。18日付工商時報などが報じた。

 17日のアジア主要通貨の対米ドル下落率は、台湾元が0.78%で最も大きく、▽ウォン、0.77%▽シンガポールドル、0.38%▽タイバーツ、0.25%▽日本円、0.13%▽人民元、0.04%──を上回った。インドネシア・ルピアは0.01%上昇した。18日は前日比0.185元高の1米ドル=32.463元で午前の取引を終えた。

 年初以来の対米ドル下落率は、台湾元の2.77%に対し、人民元は3.01%、円は4.69%、ウォンは7.08%と、台湾元の下落幅はウォンの半分以下にすぎない。


ある外国為替担当者は、アジアの通貨安が進む中、中銀にはもはや元安以外の選択肢はないと語った(17日=中央社)

Q3為替差益も

 行政院主計総処は先週末、今年の経済成長率予測を1.56%へと前回5月予測から1.72ポイント下方修正した。これを受けて台湾株式市場の加権指数は18日、前営業日比92.22ポイント下落し、8,213.42ポイントと過去21カ月で最低となった。出来高(売買高)はわずか702億7,600万元(約2,700億円)で今年2番目に少なかった。証券会社、企業からは、輸出支援のため元安を求める声が再び上がった。

 液晶パネル大手の友達光電(AUO)、工作機械部品大手の上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)は、元安は輸出に有利に働くとして、1米ドル=34元を望んでいる。証券業界は、電子業界にとって34元は適切なレートとの認識だ。1米ドル=35元、36元までの下落を求める企業もある。

 IC設計最大手、聯発科技(メディアテック)は、製品価格が米ドル建て、第3四半期の設定レートは1米ドル=31.5元のため、このまま元安が続けば、第3四半期の売上高が期待できる見通しだ。

 一方、欧州系のアナリストは、アジア通貨安で日本、韓国、中国の輸出競争力も向上しており、もし安易に短期間で元安を進行させれば、輸出中心の電子業界が多数を占める台湾株式市場にかえって不利になると警告した。

人民元切り下げ、リスク拡大

 モルガン・スタンレーは、対中輸出が多く、かつ中国と輸出面で競合関係にあるため、人民元切り下げで打撃を受ける10カ国・地域として、台湾、韓国をはじめ▽シンガポール▽タイ▽ロシア▽南アフリカ共和国▽ブラジル▽コロンビア▽チリ▽ペルー──を挙げた。また、これらの貿易相手国・地域は中国経済の減速によっても打撃を受けると説明した。

 経済部の統計によると、昨年の中国(香港含む)向け輸出は輸出総額の39.7%を占めた。韓国の対中輸出比率30%を大きく上回り、台湾は人民元安のリスクが急速に高まっている。

【図】