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世界同時株安、無給休暇の再来懸念


ニュース その他分野 作成日:2015年8月25日_記事番号:T00058918

世界同時株安、無給休暇の再来懸念

 中国発の世界同時株安を受けて、2008年の世界金融危機の際のような企業の無給休暇が再び広がらないか、懸念が強まっている。毛治国行政院長は24日、無給休暇の拡大は景気後退の警戒信号だとして緊急対策会議を開催した。経済部工業局によると、8月前半の無給休暇実施企業は16社、517人。宏達国際電子(HTC)、中環(CMCマグネティクス)など、大手上場企業が人員整理、工場閉鎖に踏み切るケースも出始めた。25日付中国時報などが報じた。


24日の台湾株式市場は、ほとんどの銘柄が株価の下落を示す「緑色」表示だった(24日=中央社)

 毛行政院長は同日早朝、経済部、労働部に対し、無給休暇の実態調査と緊急対応策の提出を指示した。

 行政院関係者は、もし無給休暇が広がれば、企業の受注減少を反映している可能性が高く、景気後退の指標といえるため、政府として対策を打たなければならないと語った。

CMC楊梅工場閉鎖、140人解雇

 経済部工業局が同日夜に発表した統計によると、県市政府に届け出があった8月前半の無給休暇実施企業は7月後半より3社・122人減少した。

 県市別でみると、新北市では光電業界の5社が計138人に対し月1〜6日の無給休暇を実施している。桃園市は過去3カ月で6社から届け出があり、対象は205人。従来型の製造業、輸出中心の企業が多い。うち楊梅区の基板メーカーは従業員107人に月2〜5日の無給休暇を与えている。新竹県では電子メーカー1社が19人を対象に6月8日、7月8日からの2段階で無給休暇を実施した。苗栗県では、台湾ミシュランタイヤが苗栗工場16人に7月1日〜9月末まで月4日の無給休暇を実施している。台南市はスズ製品メーカー、昇立特金属が9月26日から2人に無給休暇を実施する。

 経済部の職員は、台中市のLED(発光ダイオード)関連メーカー、聯勝光電(ハイパワーオプト、HPO)が7月中旬から121人に対し無給休暇を実施しており、終了時期は未定だと話した。

 一方、台中市ではある紡織メーカーが廃業を申請し、従業員10人余りが解雇された。この他、光ディスク大手、中環(CMCマグネティクス)が経営悪化で、9月に桃園市の楊梅工場を閉鎖し、140人を解雇する。同社は同日、楊梅工場の賃貸契約を更新しないことを決定しており、解雇するのは全従業員の5%未満と説明した。

アジア通貨危機、再来せず=外資

 台湾株式市場の加権指数は24日、取引時間中に一時583.85ポイント(7.5%)下落し、終値も7,410.34ポイントと、先週末の終値から376.58ポイント(4.83%)急落した。なお、25日の台湾株式市場は国家金融安全基金の介入もあり、一転前日比265.3ポイント(3.58%)上昇の7,675.64ポイントへと反騰した。

 国家発展委員会(国発会)の杜紫軍主任委員は、今回の世界同時株安は原油価格低迷、経済成長の伸び悩みが原因で、97年のアジア通貨危機、08年の世界金融危機とは状況が異なるとの見方を示した。ただし、今年の世界経済は09年以降で最も悪く、世界同時株安の打撃の大きさに注目する必要があると語った。

 メリルリンチ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーなど外資系金融機関は、アジア通貨危機のような事態には至らないとの認識だ。アジアの新興国は体質が大幅に改善している上、通貨が当時のように割高になっておらず、各国政府には十分な政策的対応手段があるためだ。

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