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頼みの内需も減退、15年成長率1%割れも=台経院


ニュース その他分野 作成日:2015年8月26日_記事番号:T00058945

頼みの内需も減退、15年成長率1%割れも=台経院

 世界同時株安を受け、台湾経済研究院(台経院)は25日、台湾株価下落による逆資産効果で内需が持ちこたえられなくなり、第3四半期は域内総生産(GDP)成長率がマイナスに転じる可能性が極めて高く、株価が下げ止まらなければ、通年成長率1%割れもあり得るとの予想を示した。輸出不振で今年の経済成長率を1.56%へ大幅に引き下げた行政院主計総処よりも悲観的な見方だ。百貨店、自動車販売など小売業では既に個人消費縮小の気配が見られ、業績見通しを引き下げた企業も出てきた。26日付蘋果日報などが報じた。


ある市民は「株価の下落がひどく、百貨店の創業祭セールで買い物する気分が全くなくなった」と話した(26日=YSN)

 台湾株式市場の加権指数は5月25日の9,645ポイントから8月25日の7,675ポイントへと、約3カ月で20%以上下落した。26日は取引開始直後に一時128ポイント下げたが、その後買いが入り、終値は前日比39.95ポイント(0.52%)の小幅な反発となった。

 台経院の孫明徳・景気予測センター主任は、株価が下落すると個人の可処分所得が減少し、消費意欲が減退すると指摘した。不振が続く外需だけでなく、内需も冷え込む事態となり、下半期のGDPはプラス成長が難しくなると予想。台湾は早くも経済成長率1%台を維持できるかどうかの瀬戸際に立たされたと警鐘を鳴らした。実際に1%を割れば、世界金融危機の影響を受けた2009年以降で最悪となる。

 行政院主計総処が今月14日に最新の経済成長率予測を発表した際、内需は依然堅調で、来年は2.70%まで回復するとの見方を示していた。株価下落で内需も減退すれば、従来の成長シナリオが崩れる。

 孫主任は政府に対し、光電業界などが無給休暇を実施していることを重く見て、経済に影響しないか注意を払うべきだと訴えた。

製造業の3割、景気悪化を予測

 なお、台経院が同日発表した景気動向調査によると、7月の製造業の営業気候観測指数は92ポイントと前月比1.62ポイント下落、サービス業は88.39ポイントと2.57ポイント下落し、それぞれ12年12月以降の最低となった。

 また製造業では、今後半年の景気が7月より悪くなると答えた企業の割合は31.7%と前月比14.2ポイント上昇、良くなるとの回答割合は18.8%へと6.4ポイント低下した。業界別では、台湾元下落による為替差益が期待できる電子、機械を除き、全業界が今後景気が悪化するとの見方を示した。

 一方、サービス業では、特に小売業で今後景気が悪化すると回答した割合が高かった。

百貨店・自動車、先行き不安視

 小売業の景気指標となる百貨店と自動車業界は、既に個人消費の縮小を実感している。

 経済部統計処が発表した7月の商業売上高統計によると、百貨店業界の成長率は前年同月比3.5%増にとどまり、2カ月連続で成長率が縮小した。ある業界関係者は、顧客の購買意欲は低く、世界株安の影響を懸念していると話した。

 今年の百貨店の周年慶(創業祭)セールは台北101購物中心(台北101モール)が9月10日に先陣を切るが、同社は業績目標を5%増へと昨年実績の11%増から引き下げ、過去最高の還元率12%を準備している。同社広報担当は、世界株安を受けて慎重に対応する必要があると語った。

 一方、自動車業界は8月1〜20日の新車登録台数が1万4,867台と前月同期比14%減少した。ある業者は、台湾生産車の販売不調が目立ち、株価下落で景気がさらに悪化すると懸念を表明。今後販促拡大も検討していると話した。またドイツ車の販売業者は、8月初め時点で既に顧客の予約が減少したと指摘。株価下落の影響が今後拡大しないか心配だと述べた。