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15年製造業生産額、マイナス成長へ=IEK


ニュース その他製造 作成日:2015年8月28日_記事番号:T00058996

15年製造業生産額、マイナス成長へ=IEK

 工業技術研究院(工研院)産業経済趨勢研究センター(IEK)は27日、製造業の2015年生産額は18兆6,600億台湾元(約70兆円)と前年比3,300億元(1.74%)減少し、2年ぶりのマイナス成長になるとの予測を示した。中国サプライチェーンの台頭、原油価格の再下落、アジア通貨安競争などを受けて、前回(7月22日)の成長率予測値を一気に2.6ポイント引き下げた。下方修正はこれで今年3度目だ。28日付工商時報などが報じた。

 IEKの陳志強シニア研究員は、製造業生産額の成長率予測は通常毎四半期に1度行っているが、行政院主計総処が今月14日に今年の域内総生産(GDP)成長率予測を1.56%へ大幅に引き下げるなど、台湾内外から悪い情報が多く入ってきたため、急きょ予測値を下方修正したと説明した。

 産業別の予測では、内需関連の民生工業は生産額2兆4,500億元で前年比1.95%増と前回予測を据え置いたのを除き、外需に左右されやすい金属機電産業は5兆400億元で3%減(前回予測から4.5ポイント下方修正)、化学工業は4兆9,600億元で7.6%減(同3.4ポイント下方修正)、情報電子産業は6兆2,100億元で3.1%増(同1.28ポイント下方修正)と軒並み成長率予測値を引き下げた。

 陳シニア研究員は下方修正の主な理由として、▽中国の「紅色供給網(レッドサプライチェーン)」台頭による台湾の輸出不振▽原油価格低迷で化学工業の生産額の7割を占める石油・石炭製品、化学材料業界が大きな影響を受けていること▽アジア通貨安競争による製品価格押し下げ、受注・出荷減少──などを挙げた。

回復はQ4以降

 IEKは15年製造業生産額の四半期別予測値を、▽第1四半期、4兆3,200億元(前年同期比1.2%減=前回予測から1.29ポイント下方修正)▽第2四半期、4兆6,800億元(3.74%減=同4.2ポイント下方修正)▽第3四半期、5兆100億元(2.62%減=同4.33ポイント下方修正)▽第4四半期、4兆6,500億元(0.83%増=同0.23ポイント下方修正)──とした。プラス成長回復は第4四半期からとの見方だ。

「今すぐ産業構造の改革を」

 陳シニア研究員は「台湾の製造業は今すぐ産業構造の改革に取り組まなければ、将来必ず後悔することになる」と警鐘を鳴らした。「これまでは経済環境が平穏だったため、特段大きな危機には直面しなかったが、今年は状況が違う。しかも今はあくまで成長鈍化のスタート地点だ。台湾の製造業は瀬戸際に立たされている」と強調した。

【表】