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TSMC追加投資1250億元、アップル「A10」全受注か


ニュース 電子 作成日:2015年11月11日_記事番号:T00060336

TSMC追加投資1250億元、アップル「A10」全受注か

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が10日発表した10月連結売上高は前月比26.7%増、前年同月比1.2%増の817億4,300万台湾元(約3,070億円)で、今年1月に次いで過去2番目に高かった。同社は同日の董事会で、先進製造プロセスとパッケージング・テスティング(封止・検査)生産能力増強のため設備投資予算1,253億5,800万元を承認した。証券会社の間では、来年のアップルのiPhone次世代機種向けプロセッサー「A10」を独占受注するとの見方が高まった。11日付経済日報などが報じた。

 証券会社は、10月の大幅増収は16ナノメートル製造プロセスでアップルの新型スマートフォン、iPhone6sとiPhone6sプラスに搭載しているプロセッサー「A9」の出荷が増えた上、28ナノプロセスの需要も依然強いためと分析した。

 TSMCの1~10月連結売上高は前年同期比16.2%増の7,217億2,200万元だった。11月、12月売上高が611億元以上ならば、張忠謀(モリス・チャン)董事長が先週の運動会で示した通り、今年通年では前年比1割の増収を達成する。

「A10」、16ナノInFOで

 TSMCは、iPhone6sのプロセッサー生産に向け、今年半ばに16ナノプロセスでの量産を開始した。設備メーカーは、16ナノプロセスの月産能力は年末に6万枚まで倍増すると予測した。第3四半期売上高は16ナノと20ナノプロセスが21%を占めたが、年末には25~30%まで上昇する見通しだ。

 同社は先月の業績説明会で、統合ファンアウト型ウエハーレベルパッケージ(InFO-WLP)がプロセッサーの重要技術になると見込み、来年第3四半期に龍潭工場(桃園市)で量産を開始すると表明していた。アップルの次世代プロセッサー「A10」は、16ナノプロセス・InFO-WLPで生産するとみられている。

米テラに出資、リソグラフィー強化

 同社は同日、半導体リソグラフィー技術の米テライノベーションズに1株6.24米ドルで合計6,500万米ドルを出資すると発表した。同社は長年ASMLと提携してきたが、極端紫外線リソグラフィー(EUV)の量産技術が依然経済規模に達していないため、10ナノ、7ナノプロセスではマルチパターニング(MPT)液浸リソグラフィー技術の強化を図る目的だ。

南科工場長が副総経理に

 同社はまた、王英郎・南部科学工業園区(南科)Fab14工場長(49)を副総経理に昇任すると発表した。王氏は兵役後に同社に入社し、3交代勤務のエンジニアから務め上げた生え抜き。個人で特許200件以上を保有し、社内では「特許の王子」として有名だ。張董事長に見込まれて、アップルのプロセッサーを20ナノ、16ナノプロセスで生産する南科Fab14工場の工場長を任されていた。副総経理としては同社で過去最年少となる。

【図】