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パリ同時テロで渡航警戒レベル引き上げ、旅行業界は影響危惧


ニュース 社会 作成日:2015年11月16日_記事番号:T00060415

パリ同時テロで渡航警戒レベル引き上げ、旅行業界は影響危惧

 13日夜にパリで起きた同時多発テロ事件を受けて、外交部は14日、パリを中心とする近隣7県のイル・ド・フランス地域圏への渡航警戒レベルを黄色(特別注意し、渡航の是非を検討)に引き上げた。欧州ツアーを扱う台湾の複数の旅行会社には14日午後から電話が殺到し、予約キャンセル希望者が現れた。旅行業界はテロへの懸念が欧州全体、米国、東南アジアに広がり、来年の春節(旧正月)まで長引くことで、旅行ハイシーズンが不振に終わることを危惧(きぐ)している。16日付経済日報などが報じた。


約200人の在台フランス人が15日、中正紀念堂の自由広場に集まり、テロ犠牲者に1分間の黙とうを捧げた(15日=中央社)

 パリ同時多発テロの死者は132人、負傷者は349人に上った。交通部観光局の統計によると、15日時点でフランスには台湾人ツアー団体10組、275人が滞在していたが、全員の無事が確認された。

 台湾の旅行会社のコールセンターでは14日午後以降、団体旅行者の安否を心配する家族などからの電話が鳴りっぱなしだった。ただ14〜15日は週末で管理者が不在だったこともあり、週明けのきょう16日にキャンセルが続出すると予想されている。

 業界大手の雄獅旅行社(ライオントラベル)は14日、今月30日までに出発予定のフランス行きツアーをキャンセルした場合、実際にかかった経費のみを徴収し、ホテル、航空会社と交渉してなるべく予約者の損失を軽減する方針を示した。易遊網(ezトラベル)も同日、パリ行き航空券、ホテルなどの予約者に対し、21日までのキャンセルであれば全額を返金すると表明した。

 業界関係者は、今回のテロで短期的な打撃は避けられないと指摘。幸い欧州行きツアーは10月にオフシーズン入りし、旅行団体数が少ないため業績への影響は軽微だが、欧州以外の地域への波及の方が懸念材料だと述べた。

エバー、キャンセル・変更50人以上

 長栄航空(エバー航空)は16日、台北(桃園)〜パリ(シャルルドゴール)の搭乗キャンセル・ルート変更が50人以上に上ったと説明した。同社によると台北〜パリの平均搭乗率は8割以上で、欧州線の中でも人気路線となっている。

ASUS・エイサー、影響なし

 華碩電脳(ASUS)、宏碁(エイサー)、宏達国際電子(HTC)、合勤科技(ザイセル・コミュニケーションズ)は15日、フランスを含む欧州の業務は現在正常で、今後の動向を見守っていくと表明した。

 ASUSの欧州従業員は約700〜800人とされる。呉長栄・同社財務長は、現地従業員は全員無事だったと説明。販売状況については今後1週間の需要、ユーロ為替レートの動向を注視し続ける方針だ。同社は、ユーロの為替リスクヘッジ率は100%近く、短期的には影響は受けないと強調した。

 HTCは、欧州本部は英国ロンドンにあり、欧州各地の拠点の従業員は全て現地採用のため、台湾に従業員を呼び戻す計画はないと説明した。

 一方、パリ同時多発テロを受けて、16日のアジア各国・地域の株式市場はほぼ全面的に下落した。台湾加権指数も終値で8,295.4ポイントと、先週末から34.1ポイント(0.41%)値を下げた。取引開始から30分で100ポイント以上下落したものの、その後は値を戻した。

出入境検査を強化

 馬英九総統は14日、「中華民国と人民を代表し、暴力を厳しく非難する。死者に心から哀悼の意を表し、負傷者に深くお見舞い申し上げる。台湾はフランス国民と同じ思いを共有している」との談話を発表した。

 毛治国行政院長は同日、出入境検査を強化するよう関係機関に指示した。内政部警政署は空港、港、駅などのパトロールを強化するよう警察機関に命じた。

 台湾はテロ対策で米国と提携し、航空管理システムを通して乗客リストを前もって入手することで、中東からの疑わしい渡航客などの入境やトランジットの際、特に注意深く検査できる体制を整えているとされる。