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松山空港「20年までに移転」、台北市長が宣言


ニュース 運輸 作成日:2015年11月18日_記事番号:T00060466

松山空港「20年までに移転」、台北市長が宣言

 柯文哲台北市長は17日、台北松山空港の機能を遅くとも2020年までに桃園国際空港へ移転すると宣言した。野党民進党も来年政権に返り咲けば20年末の移転を目指すとの立場で、移転に向けた動きが本格化する可能性が高まった。ただ交通部は「移転は早くても桃園空港の第3滑走路が完成する30年以降」との立場を崩しておらず、移転計画が早期に進むかは予断を許さない。18日付経済日報が報じた。


柯市長は就任前から松山空港の移転構想を表明していた(台北市リリースより)

 日本統治時代の1936年に建設された松山空港は、50年に民間空港として開港。現在、台湾域内線の就航都市は7都市、国際線は東京(羽田)、ソウル(金浦)の2都市、中台線は12都市。滑走路1本、ターミナル2棟を備え、昨年の利用旅客数は延べ611万人だった。今年は630万人に増える見通し。

 松山空港は台北市中心部に位置し、航空機の安全運航を目的として周辺の建物には高さ制限があるほか、騒音の問題もある。昨年2月に松山空港を出発した復興航空(トランスアジア航空)旅客機が基隆河に墜落した事故を受け、移転を求める声が高まった経緯もある。

 17日開かれた松山空港の移転問題をめぐるフォーラムで、台北市の林欽栄副市長は、桃園空港は第4、第3ターミナルがそれぞれ18年、20年に完成予定で、年間処理能力が5,000万人増えるため、松山空港の利用客を全て桃園空港に移せると指摘した。

 台北市は松山空港の移転により空いた土地に公園や公共住宅、国際イノベーション園区、行政園区、文化園区を建設する計画だ。柯市長は、移転後の都市計画を策定する専門チームも設立する方針を明らかにした。

移転・廃止で与野党一致

 民進党の姚文智立法委員は、桃園空港は第2ターミナルを拡張中で、第3、4ターミナルも完成すれば、年間処理能力は5,700万人以上に増えると指摘。桃園空港の今年の旅客数は4,000万人に達する見通しで、松山空港の利用者を十分に受け入れられるとの見方を示した。また、移転により松山空港周辺の建物の高さ制限が解除されれば、市政府による都市計画でより多くの価値を創出できると述べた。

 侯友宜・新北市副市長(国民党)は、大台北地区(台北市、新北市、基隆市)と台湾全体の長期的な発展の見地から、松山空港の移転を前向きにみていると表明。ただ、20年にはまだ桃園空港の第3滑走路が完成しておらず、産業移転、周辺交通との調整、来年にも開通予定の台湾桃園国際機場捷運(桃園空港MRT)の運行状況など考慮すべき問題があると指摘した。また、松山空港は軍民共用空港であり、移転後に国防上の再配置をどう行うかなど、補完措置を講じるべきだと主張した。

 桃園国際機場公司の温永松副総経理は、「20年に松山空港の移転を完成させるとなると大変なプレッシャーだが、政府の既定路線となれば全力で取り組む」と語った。

民航局、「30年以降に検討」

 交通部民用航空局(民航局)の方志文副局長は、桃園空港の第3滑走路完成前に松山空港の機能を引き受けるのは不可能で、第3滑走路が完成してからも利用状況、旅客数の変化をみなければならず、松山空港移転の是非は30年以降でないと検討できないと強調した。

 方副局長はさらに、松山空港の昨年の域内線旅客280万人のうち、離島の金門、澎湖、馬祖との往来が239万人で85%を占めたと指摘。移転の是非は離島の県政府、国防部、内政部などと意見を調整する必要があると述べた。

 市民からは「桃園空港がさらに混雑しないよう補完措置を講じてほしい」「桃園空港まで距離があるため、首都にも空港はほしい」といった意見が出た。