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製造業Q3生産額が5年半ぶり最悪、「通年マイナスは決定的」


ニュース その他製造 作成日:2015年11月20日_記事番号:T00060517

製造業Q3生産額が5年半ぶり最悪、「通年マイナスは決定的」

 経済部統計処が19日発表した製造業の第3四半期生産額は前期比5.14%減、前年同期比15.01%減の3兆1,619億台湾元(約12兆円)で、2010年第1四半期以来の5年半で最悪となった。前年割れは3四半期連続で、減少幅は世界金融危機の影響を受けた09年第4四半期以降で最大だった。第1〜3四半期の生産額は前年同期比9.53%減とほぼ2桁減で、今年通年のマイナス成長は確定的だ。20日付経済日報などが報じた。
 

 経済部統計処の楊貴顕副処長は、第3四半期の生産額が前年同期から大幅に減少した原因の半分以上は、原油価格下落により石油・石炭製品業の生産額が前年同期比40.2%減少したこと、化学材料業が23.94%減少したことにあると指摘した。両産業とも2桁減少が4四半期続いている。

 4大産業別でも軒並み前年割れとなった。各産業の生産額は減少幅が大きかった順に▽化学工業、8,372億元(25.13%減)▽金属機電工業、9,029億元(14.19%減)▽情報電子工業、1兆684億元(9.46%減)▽民生工業、3,535億元(4.48%減)──。

 さらに細分化した主要産業別では、電子部品業の第3四半期生産額が8,985億元と前年同期比8.45%減少した。うちIC産業は1.71%減の2,875億元、液晶パネル・関連部品産業は20.27%減の2,304億元だった。消費者向け電子製品の弱い需要を背景に、顧客の在庫調整継続でファウンドリーの成長率が鈍化したほか、国際競争の激化でパネル価格が下落、生産量が減少したことが要因だ。

 汎用金属業の第3四半期生産額は2,843億元で前年同期比27.55%減少した。世界鉄鋼市場の供給過剰が解消されず、価格が続落したことや、一部の大手メーカーの年次保守入り、低価格鉄鋼製品の輸入が主因だ。

 このほか、パソコン・電子製品・光学製品業の第3四半期生産額は1,699億元で前年同期比14.47%減だった。モバイル端末メーカーが市場競争激化を受けて減産したことが要因だ。機械設備業は7.33%減の1,598億元だった。世界的な景気減速で企業の設備投資が減少した。自動車・関連部品業は4.21%減の977億元だった。輸入車の市場シェア拡大、および財政部が9月中旬に乗用車買い替え時の貨物税(物品税)減税構想を明らかにしたことで、消費者の間で台湾生産車購入に対する様子見ムードが広がったことが響いた。

Q4回復は年末需要次第

 楊副処長は、第4四半期に製造業の生産額が回復するかは年末のクリスマスシーズン、来年の春節(旧正月、16年は2月8日)に向けた需要次第と指摘。通年の減少幅は12年の3.81%を上回る可能性があるが、09年の19%ほどひどくはならないと予想した。

輸出未回復、GDPマイナス成長も

 張盛和財政部長は19日、立法院での答弁で、11月第1〜2週の輸出総額が依然前年同期比2桁減だったと明かした。輸出不振で今年の台湾域内総生産(GDP)成長率がマイナスとなる可能性も指摘されているが、張財政部長は「GDP成長率の計算は輸出以外の多くの要素が関わってくるため、現時点でまだはっきりとした予測はできない」と述べた。


張財政部長は、台湾はIC、モノのインターネット(IoT)産業の優勢を生かして新たな産業の強みを打ち立てるべきだと訴えた(19日=中央社)

 台湾経済研究院(台経院)景気予測中心の孫明徳主任は、輸出減少幅は10月に縮小したものの、プラス成長を回復するのは来年2月以降になる可能性があるとの予測を示した。

【図】