ニュース 電子 作成日:2015年11月24日_記事番号:T00060568
鄧振中経済部長はこのほど英紙フィナンシャル・タイムズに対し、「任期を終える(来年5月)前に中国資本による台湾IC設計業への投資規制を緩和したい」と語った。呉明機・同部工業局長も23日、開放に向けた検討作業に着手済みで、早ければ来年の春節(旧正月、2016年は2月8日)後に具体案がまとまると明かした。24日付工商時報などが報じた。
呉工業局長(左2)は、半導体業界から要望がある以上、経済部は中国資本を開放する責任があると強調した(23日=中央社)
鄧経済部長は、中国との激しい競争に直面する中、IC産業を支えていくためには中国企業にさらに門戸を開く以外に選択がないと指摘。「市場は台湾だけでなく、中国を含めた世界中にあることを理解している。出資規制の適度な緩和は必要であり、さもなくば台湾のIC産業は立ち位置を失ってしまう」と危機感を示した。
鄧経済部長は、台湾の雇用と技術を守るため規制緩和は慎重に行う必要があると指摘。ただ規制緩和は重要なイシューであり、避けることはできないと語った。
「案件ごとに検討」
中国資本による台湾IC企業への投資は現在、製造とパッケージング・テスティング(封止・検査)分野では条件付きで認められているが、設計への出資は未解禁だ。呉工業局長は「IC設計産業から要望があったため規制緩和の検討を開始した。産業の健全な発展が目的だ」と説明した。
緩和は程度が焦点になる。IC製造、封止・検査業への投資では▽中国企業による出資比率が半分未満▽中国企業が実効支配力を持たないこと▽戦略性を持つ提携であること▽専門審査にパスすること──の規制がある。呉工業局長は、IC設計への出資規制緩和も基本的に同じ方向で検討すると話した。ただ、IC設計の業態は多種多様で、同業種、異業種提携を問わず提携効果は異なるため、メリットがデメリットを上回ると判断した個別の案件ごとに審査する方向だと述べた。
業界は歓迎
鄧経済部長の発言に対し、台湾のIC設計業界からは歓迎の声が上がった。業界最大手の聯発科技(メディアテック)は「規制緩和は半導体産業全体に関わるイシューだ。中国資本を条件付きで開放すれば、中台の産業提携が進み、台湾のIC設計産業にさらなる成長をもたらす」と従来の立場を表明した。さらに、同社は上場企業であり、合法な資金であれば資本の国籍によって拒否することはないとコメントした。
NAND型フラッシュメモリー用コントローラIC設計の群聯電子(ファイソン・エレクトロニクス)は、規制を緩和すれば台湾の上場IC設計企業は資金調達力が増し、人材を引き留めやすくなるほか、中国市場との関係がより緊密になり、競争力を高められるとメリットを強調した。
技術流出防止の仕組みを
もちろん、中国資本を開放することで技術が流出する懸念もある。IC設計の微駆科技(エクスプロア・マイクロエレクトロニクス)の呉金栄総経理は、政府はまず産業界、学界の意見を聞き、技術の流出を防ぐ仕組みを盛り込んだ管理法を制定すべきと提言した。
華南証券投資顧問の儲祥生董事長は、中国による海外半導体企業への投資は既定路線であり、台湾政府が開放を進めれば台湾の証券市場にも好材料となると指摘した。
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