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IS動画に中華民国旗、不安広がりテロ警戒強化


ニュース 社会 作成日:2015年11月26日_記事番号:T00060621

IS動画に中華民国旗、不安広がりテロ警戒強化

 過激派組織「IS(イスラミックステート)」がこのほどインターネット上に公開したプロパガンダ動画に中華民国の青天白日満地紅旗が含まれていたことから、台湾がテロの標的になるのではないかとの不安感が広がっている。馬英九総統は25日、先週の国家安全会議でテロ対策を始動したと説明し、市民に冷静さを保つよう求めた。軍や警察のテロ対策部隊は警戒態勢を強め、空港や港は出入境検査を強化している。26日付蘋果日報などが報じた。


桃園空港では短機関銃を持った警察特殊部隊が巡回を始めた(25日=中央社)

 ISが公開したプロパガンダ動画では、世界の反IS同盟として60カ国・地域の旗が映し出され、アルファベット順により青天白日満地紅旗は米国の左横に置かれた。その後「かかってこい。仲間を集めろ。手を抜くな。われわれは最強だ」と読み上げた。

 台湾は普段国際社会から疎外されていることから国際紛争には縁が薄く、今回ISから関係国として名指しされたことには意外感も出ている。ただ、台湾は昨年9月に米国主導の反IS同盟に加入しており、オバマ米大統領が今週22日に「アジア・太平洋地域の反IS同盟のパートナーは台湾を含む」と明言、そして今回のIS動画での中華民国旗表示と、本格化する国際社会の反テロ闘争に台湾も加わる流れが明確になっている。

 馬総統は25日朝に青天白日満地紅旗がISの動画に映ったことを知るや、直ちに国家安全会議と行政院に対策を取るよう指示した。

 国家安全局は国境警備と情報収集を強化すると表明。ただ、現時点では台湾でIS関係者による動きはないと強調した。

 外交部は、在外公館にビザ発給審査を強化するよう指示したと説明した。

 このほか台北101ビルや米国在台協会(AIT)など外国人が多く集まる場所では、警察がテロ警戒レベルを1(赤色)に引き上げて警備に当たっている。

空港の搭乗手続き30分早く

 桃園国際空港では今月のパリ同時多発テロを受け、先週から既に警戒レベルを引き上げていた。きょう26日からは爆発物探知犬が初めて旅客機に入る。

 桃園空港は、台湾内外を問わず空港の保安検査が今後さらに厳しくなるため、これまでより30分早めに搭乗手続きを済ませるよう呼び掛けた。また、手荷物はなるべく常に手の届く場所に置かないと、爆発物と誤解され得ると注意を促した。

台湾は人道支援のみ

 国防部の羅紹和報道官は、台湾は対テロで人道支援や緊急救援を行っており、軍事行動には関わっていないと説明した。軍事を専門とする林郁方立法委員(国民党)は、ISが台湾を攻撃するには武器や拠点を提供する仲間が台湾内部に必要となるが、そうした条件はそろっていないと指摘。ISは動画で心理戦を仕掛けているだけで心配する必要はないと述べた。

 一方、淡江大学国際事務・戦略研究所の王崑義教授は、台湾が米国の対テロ作戦でどのような支援を行っているかはテロリストにとって関係なく、警戒が必要だと訴えた。

テロで欧米向け輸出不振

 なお張盛和財政部長は25日、パリ同時多発テロが欧米の個人消費、観光需要に影響し、台湾の輸出が打撃を受けていると明かした。台湾は11月第1〜3週の輸出総額が依然前年同期比2桁減だという。

 台湾経済研究院(台経院)景気予測中心の孫明徳主任は、テロの影響は来年第1四半期まで続く可能性があり、特に欧米向け輸出割合が最大の電子部品、自転車が最も打撃を受けるとの予測を示した。