コラム

記事番号:T00011674
2008年11月19日0:00
 
 台湾の人材派遣市場が急速に拡大していることについて、弊社ワイズニュースは11月14日付トップ記事でお伝えしました。この急成長の背景には、2007年7月実施の法定基本賃金引き上げ(月額1万5,840元→1万7,280元)、および世界的な金融危機による不況の2大要因があるとみられています。

 日本でも派遣労働者が急増しているようです。厚生労働省が11月7日付で発表した就業形態の調査結果によると、労働者全体に占める非正社員の割合は4割弱(37.8%)に上り、特に派遣労働者の比率は4.7%(03年度比2倍強)と高い数値になっています。

 雇用者が非正社員を活用する理由には、「賃金の節約(40.8%)」「仕事の繁閑に対応するため(31.8%)」「即戦力・能力のある人材の確保(25.9%)」が挙げられています。やはり台湾同様、雇用者による人員コスト削減のための苦渋策のようです。

台湾「派遣族」の選択

 では、台湾の派遣労働者たちは自分の仕事をどのように考えているのでしょうか?

 104人力銀行の調査によると、会社員の99%が「人材派遣制度を知っているか聞いたことがあり」、そのうちの13%に「派遣労働の経験がある」そうです。

 「派遣労働者(派遣族)」という雇用スタイルを選ぶ理由には、「正社員になれる機会がある(38.7%)」「未経験でも仕事に就くことができる(30.7%)」「外資系企業や大企業で働く機会が得られる(30.4%)」などが挙げられています。不況が続く中、正社員のポストを得られる機会は目に見えて減少しており、やむなく「派遣族」に甘んじる人も多いようです。

 しかし一方で、「実務経験を積むことができ、実力強化につながる(30.3%)」「さまざまな業務が経験できるので、視野が広がる(15.8%)」など、派遣労働をキャリアアップの一つと捉える意見もあります。積極的に「派遣族」を選ぶ人もいるということでしょう。

 また台湾の「派遣族」は、「30歳以下」と「40歳以上」の2つの層に集中しているといわれています。これは、「30歳以下の層は自分の仕事の適性を探し求め」、「40歳以上の層は仕事の自由度(フレキシビリティ)を求める」世代であることと関連があるのでは、と104人力銀行は指摘しています。

 雇用者側の事情と派遣労働者側のニーズがうまくマッチすれば、人材派遣という雇用スタイルはさらに確立していくと思われます。

 ただ、この不況が続く時代にあっては、派遣族の不満要素である「福利厚生が正社員と比べ不十分(38.7%)」「短期就業のケースが多く、安定していない(23.5%)」などの問題は、当分の間解消されることはないでしょう。

派遣社員に評価制度

 最後に、日本の派遣労働に関する興味深い報道を先日、目にしましたのでご紹介いたします。某大手人材派遣会社では、派遣スタッフを対象とした独自の評価制度を導入するそうです。対象となるのは、同派遣会社からの派遣年数が一定年数以上で、事務経験10年以上のスタッフ。筆記試験や面接審査、派遣先へのヒアリングなどで、職種ごとに3段階で評価。評価結果次第では、時給が最大3割引き上げられるそうです。

 現在はまだ、(少々語弊のある言い方かもしれませんが)「低賃金で使い捨て」の感が強い派遣社員ですが、某テレビドラマでおなじみの「スーパー派遣社員」が続々と登場する日も近いのかもしれませんね。


ワイズコンサルティング 宮本美子