コラム

記事番号:T00011992
2008年12月3日0:00
 
 どこを見渡しても不況のこの世の中、世界各国の政府が経済対策に奔走しています。ワイズニュースでも連日お伝えしているように、台湾政府も「低所得者への補助金支給」「失業者を雇用した企業への給与補助金を支給」などの政策を打ち出していますが、顕著な効果は上がっていないようです。

 ただ、先日の「最低賃金(基本工資)引き上げ、今年は見送り」の決定は、妥当な判断だったのではないでしょうか?「最低賃金を引き上げれば消費を刺激できる」という労働者側代表からの訴えは、企業による人員削減や大量解雇が広がり、雇用が不安定な現状では、あまりに無意味であるように思えます。

「不無小補」の消費券?

 さて、いま最も話題の景気対策といえば、台湾で初の試みとなる「消費券」の発行です。景気浮揚対策の4大柱の一つで、台湾全住民に一律3,600台湾元(約1万円)の消費券を支給し、個人消費の起爆剤としようというものです。海外メディアからは「非効率な対策」と批評され、台湾住民の間には政府の財政負担増への懸念や、支給対象に制限を設けず富裕層も含めることを疑問視する声もありますが、「不無小補(無いよりまし)」というのが実情のようです。

 消費券の使い道の予定について、求人情報大手の1111人力銀行がこのほど、サラリーパーソンを対象に、アンケート調査(回答数:503件)を実施しました。これによると、消費券を手にした後、「消費増加(計画外・必需品以外のものを買う)」と答えた人は全体の36.58%でしたが、「必需品を買う」人はさらに上回り、57.85%となっています。また5.57%の人に至っては「現金化を思案」と回答しています(ただし現金化は政府から禁止されています)。

 また、消費券の具体的な用途に挙げられているのは、食事関連(45.13%)、衣服関連(18.29%)が中心となっています。やはり某海外メディアが指摘するように、「必需品購入」の枠を出ず、政府が期待するような個人消費の起爆剤にはなり得ないと推察されます。果たして、投資額829億元が見込まれる「消費券」の効果は、いかなるものでしょうか?

定額給付金の行方は?

 日本でも経済対策の一環として、2兆円規模を投じる「定額給付金」が国民に支給されることが予定されています。現時点では台湾の消費券同様、支給対象に所得制限を設けず一律支給(1人1万2,000円、18歳未満と65歳以上はプラス8,000円で計2万円)」が基本とされています。ただし日本の施策は、「消費効果と生活支援」が目的の「現金支給」となっています。

 この給付金支給のニュースが報じられた直後、街では「高級レストランで食事する!」「貯蓄に回す!」といった声が聞かれたようです。一方で、「家計は多少助かるが、経済効果は疑問。雇用対策が先なのでは」という批判の声もあるようです。

 またこれに関連して総務省からは早速、「定額給付金、振り込め詐欺に注意!」の呼び掛けも出ています。何とも嘆かわしい世の中になったものですね。

 ところで台湾の消費券の支給対象に、外国人配偶者は含まれるとのことですが、外国人就労者は含まれないと聞き、個人的には少々残念です。

 なお、日本の定額給付金支給には、外国人労働者の扱いは「今後検討」とされていますが、海外在住邦人への支給は…?「口座振込」なので問題ないのでしょうか(笑)。「不無小補(無いよりまし)」、この不況ではやはり貴重な臨時収入といえます。某お役人が言っておられた「給付金受領の辞退」を申し出られる奇特な方は、いらっしゃるのでしょうか?


ワイズコンサルティング 宮本美子