コラム

記事番号:T00012653
2009年1月7日0:00
 
 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

 年が明けたら…“景気回復!”となっていればよいなぁと能天気に考えていましたが、日本の「年越し派遣村」のニュースを見て、そんな甘い考えは吹き飛びました。契約の打ち切りで仕事と住まいを失った派遣労働者に対し、食事と居場所を提供するため日比谷公園に特設された「派遣村」でのようすを伝えた報道では、メディアのインタビューを受けていた「村民」の声が、意外にも若かったことに驚きました。

 経済協力開発機構(OECD)の報告書「日本の若年雇用(Job for Youth-Japan)」によれば、日本の若年層(15~24歳)の失業率は、2002年の9.9%から07年には7.7%へと低下しています。ただ、その若年層の失業者のうち、失業期間が1年以上の「長期失業率」は、10年前の18%から07年には21%へと上昇しています。日本の若年層はまた、非正規雇用者の増加も深刻な問題になっています(2007年、学生を除く15~24歳の若年労働者の約3人に1人が「フリーター」と呼ばれる派遣・パートタイム労働者)。

不景気が若者に直撃

 不況下の台湾でも、若年労働者は無給休暇などコスト削減の対象となることが多く、厳しい状況となっているようです。行政院労工委員会が08年に調査した新卒初任給の平均水準は、▽大学院卒、3万1,363台湾元(約8万8,000円)▽大卒、2万6,474元──で、依然として下落傾向にあります。このような状況では生活を守るために、「二足のわらじ=兼業」することもやむを得ないのかもしれません。

 求人情報大手の1111人力銀行が実施した「兼業(兼職)調査」(08年12月5~18日にインターネットによるアンケート方式で実施。回答1,182件)によると、2割以上の会社員が兼業をしており、そのうちの5割以上が兼業の理由に「不景気の影響」を挙げています。なお、兼業による平均収入は月1万621元となっています。

「二足のわらじ」、本業への影響は?

 日本では、正社員の兼業禁止を就業規則に定めている会社が多くみられます。台湾でも、特に日系企業では、日本同様に従業員の兼業を禁止している会社も少なくありません。

 兼業禁止の理由の一つには、「本業の労働履行に影響が及ぶことを防ぐ」ですが、上記アンケート調査では、兼業をしている会社員の15.7%が「本業に影響あり」と答えています。その悪い影響は、「遅刻・早退(57.89%)」「業務効率の低下(42.11%)」「業績の低下(31.58%)」に出ているという回答結果です。

無給休暇中の兼業、協議書締結を

 兼業禁止の主旨は、会社が従業員へ従来の労働契約に基づき所定の労務提供を命じ、対価を与えて従業員権益を保証している状況が前提となるかと思います。

 昨今話題の無給休暇を実施するに当たっては、労使双方で話し合い、協議書を締結することが先と、労工委員会から指導公告が出ています。同委員会による協議書の模範例には、「兼業」に関する取り決め事項も含まれています。

 従来、会社で兼業禁止を規定している・いないに限らず、無給休暇期間における兼業の扱いを取り決めておくことは、必要かつ重要なことだと思います。従業員を無給休暇扱いとしながら、生活保障のための兼業を全く認めないことは不合理といえますし、また無給休暇中に兼業を認める場合も、自社に影響を及ぼす従業員の「競業行為」にはやはり注意を払う必要があるからです。なお、言うまでもありませんが、労使双方の権益を考慮した協議書の締結が求められます。


ワイズコンサルティング 宮本美子