Keyword.46 人件費削減事情 vs 人員費用削減情形


コラム その他 作成日:2009年1月21日

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Keyword.46 人件費削減事情 vs 人員費用削減情形

記事番号:T00012977

 
 台湾人の皆さまが待ちこがれていた消費券の発給が18日、始まりました。実施までには、その効果についてさまざまな議論がありました。とはいえ、久しぶりに消費する市民の晴れ晴れとした明るい表情が見られたのは良いことですね。

 しかし、この消費券による経済(消費)効果も期間限定で、本格的な景気回復には程遠く、企業にはまだまだ厳しい道のりが続くといえそうです。

 「企業は人なり」という言葉があります。これは本来、企業経営存続の要(かなめ)・基盤は人材であり、人材投資や育成は不可欠、という意味であると思われます。ただ裏を返せば、企業の負担となるのも人材(=人件費)であり、特にこの不況下では費用削減の筆頭対象に挙げられています。

 一般的な人件費削減策としては、まず残業・労働時間短縮に伴う賃金削減、続いて本格的な人員削減でしょうか。既にこれらに着手している在台日系企業も少なくありませんが、留意すべきはその措置の違法性と合理性です。特に在台日系企業の就業規則は日本本社の規則を流用している場合も多く、台湾の規定とは異なる場合があります。日台の規定は似ているだけに、思わぬ落とし穴もあります。そこで今回は、日台の賃金・人員削減に関する規定の類似・相違点についてご紹介します。

ノーワーク・ノーペイの原則

 日本には「ノーワーク・ノーペイの原則」というものがあります。賃金は労働に対する報酬対価であり、未就労時間に対しては賃金を支払わなくてもよい、という考え方です。

 例えば、従業員が遅刻・早退・私用外出した際、その時間は働いていないわけですから、この原則に基づき、会社は従業員の賃金を差し引いてよいことになります。

 この概念は台湾にもあり、遅刻・早退・私用外出時の時間を未就労と見なして、賃金を差し引くことができます。台湾の労働行政機関は、「賃金の控除は、実際の未就労時間分に基づく」ことを原則にしています。しかし、現実の運用では、賃金計算の便宜上、合理的な時間単位(15分単位など)で控除額を算定している企業が多いといえます。

 また現在のような不況時において、操業一時停止などに伴って、会社が従業員に自宅待機を命じることがあります。この場合の賃金の取り扱いは、日台で若干異なります。

 台湾では昨今話題の無給休暇を企業が敢行し、その名の通り、当該休暇期間は無給とする、実際の未就労期間分の賃金控除が可能です。台湾の現行規定では、この賃金削減に対する制限は「法定最低賃金を下回ってはならない」というもののみです。

 一方、日本の法律の原則では、この場合の未就労は会社の責によるもので、休業分の賃金をすべて差し引くことは不合理とされ、平均賃金の60%を休業手当として支払うことが原則として義務付けられています。

 なお、平均賃金の算定も日台で異なり、日本は過去3カ月間の賃金平均、台湾では過去6カ月間の賃金平均で算定されます。また、台湾では無給休暇の日数は、平均賃金の算定に組み込まれないこととされています。算入した場合、平均賃金額が本来より低くなり、従業員の権益を逸することになるからです。

賃金の次は人員削減

 賃金削減の次は…、いよいよ人員削減となります。不況時の経営状況悪化に伴ういわゆる整理解雇は、日台双方ともに会社都合によるものとされ、解雇の予告期間や解雇金の支給が必須です。「大量解雇」の場合には、労働主管機関への届出が必要な点も同じです。

 以上、人件費削減についてお伝えして参りましたが、人件費の削減のみでは一時的な消費券効果と同様で、企業の根本的な立て直しの解決策とはなり得ないのはご承知の通りです。無駄な費用の削減はもちろん必要ですが、「自社にとって今、最もすべきことは何か」の見極めこそ、経営者に課せられた使命と言えるでしょう。


ワイズコンサルティング 宮本美子

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