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事件簿5 独自判断の前に要確認!法令の落とし穴


コラム 人事労務 作成日:2009年2月11日

労務コンサルタントの事件簿 労務問題Q&A

事件簿5 独自判断の前に要確認!法令の落とし穴

記事番号:T00013285

 
●法令に規定のない事項の取扱いは?

 「ツイてない…」――在台日系電子部品企業の総経理Y氏はため息まじりにつぶやいた。台湾駐在2年目の今年、ようやく社内事情や現地ビジネスの基本を把握でき、これからと意気込んでいた矢先、世界的金融危機を発端とする100年に1度の不況が到来した。何か手を打たねば…と思いつつ気ばかり焦る毎日だった。そこへ台湾人のC管理部長がY氏の元へやってきた。

 C管理部長は今年50歳。その持ち前の人の良さと高い日本語能力で、同社で長い間、歴代日本人経営者と従業員との間における「クッション的役割」を果たしてくれている功労者である。ただY氏としては、「もう少し積極的に建設的な提案をしてくれれば…」と日ごろ思わないでもなかった…。

C管理部長:総経理、指示いただいた社内規定の改定案を作成しました。一度確認していただけますか?

Y氏:(そうだ、受注が減って業務が忙しくないこの時期に、社内規定の見直しをするよう、頼んでいたな)ありがとう

 C管理部長から草案を受け取ると、Y氏は早速目を通してみた。ふと草案上の付せんに目を留め、該当部分をめくると、年次有給休暇に続き、慶弔関連の規定が記載されていた。

1.従業員が結婚する際、結婚休暇8日を与える。

2.父母、養父母、継父母、配偶者が亡くなった際、忌引休暇8日を与える。

3.祖父母、子女、配偶者の父母・養父母、継父母が亡くなった際、忌引休暇6日を与える。

4.兄弟姉妹、配偶者の祖父母が亡くなった際、忌引休暇3日を与える。
(以上、労工休暇規則より規定)



Y氏:そうか、台湾は忌引休暇の扱いが細かいね。養父母の死亡も忌引対象なんだね

C管理部長:はい

Y氏:で、このマーキングの部分は?何々…「父母が同時に亡くなった場合」、「離婚して再婚する場合」、「労使争議に出席する際の休暇申請」…!?

C管理部長:この際、徹底的に見直そうと、従業員に意見を募ってみたら、いろんなケースが出てきたので羅列してみました

Y氏:(コスト削減案は一つも出てこないのに、こんな提案は出るのだな…。これをまともに取り上げるCさんもCさんだが…)

 Y氏は首をかしげつつも気を取り直し、C管理部長に向かって語った。

Y氏:なるほど、あり得なくはないけど、ここまで規定化する必要はあるのかな?

C管理部長:意見を聞いた以上、回答なしでは私が文句を言われます。ただでさえ、この不況で従業員の雰囲気は悪くなってますから。ただ、法律に取り決めがありませんので、ここはひとつ総経理判断で決めていただければ

 後はよろしく、とばかりに一礼してその場を立ち去ったC管理部長にY氏は言葉を失い、もはや問い正す気力を失っていた。

 当然、それらをまともに取り上げ規定化しようとは思っていなかったY氏だが、万一発生した時にいちいち決めるのも面倒だと思い、駐在歴が長い取引先の日本人経営者に紹介してもらった、労務コンサルタントへ折りをみて問い合わせてみた。


●解説

 C管理部長の言うように、上述の特別事項に関して、法令には特別な取り決めはありませんが、労働主管機関の労工委員会による解釈令が出ています。上述事項の解釈は以下の通り。

○父母が同時に亡くなった場合の忌引休暇の扱い

 ☞亡くなった人数分、休暇日数を与える(父母同時死亡→8日×2人=16日)

○離婚後、再婚する場合の結婚休暇の扱い

 ☞原則、再婚時も通常通り結婚休暇8日を与える

○労使争議

 ☞労使争議で調停や法廷へ出頭する際、従業員はまず私用休暇または年次有休を取得、その争議判定で雇用者の違法が確定した際、会社は前述の休暇(私用休暇或いは年次有休)を「公用休暇(有給)」に振り替えなければならない。

 台湾の法令もご多分に漏れず、現実の産業社会の後追いで、抜け穴があります。また法令改正には法案審議等に時間がかかるため、労働主管機関より解釈令を公告して補足としている場合もあります。よって、法令だけを眺め把握したつもりになっていると、時には誤解が生じることもあります。リスクが伴うことを念頭におかれ、適宜、専門家へ確認されることをお勧めします。


ワイズコンサルティング 宮本美子

労務コンサルタントの事件簿労務問題Q&A

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