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事件簿6 通勤途中の事故!労災認定の条件とは?


コラム 人事労務 作成日:2009年2月25日

労務コンサルタントの事件簿 労務問題Q&A

事件簿6 通勤途中の事故!労災認定の条件とは?

記事番号:T00013605

 
●職務に忠実な(?!)総務L小姐のケース

 「いましばらくは我慢の時か…」。在台日系電子部品企業の総経理Y氏は、けさの新聞をめくりながら思案していた。台湾駐在2年目で中国語はまだおぼつかず、地元紙の記事を読むことは難しいが、その見出しから明るい話題が少ないことは充分予想できる。

 世界的金融危機に端を発した不況の到来から約半年…。一部大手製造メーカーで生産受注が再開したとニュースで報道されているものの、自社の業績に目に見える動きはなく、明るい見通しはまだ先になりそうだ。

 そこへ…おなじみC管理部長がY氏のもとへやって来た(「今日はいったいどんな“難問”を持ってきたのかな…?いつになく慌てた様子だが…」)。

 Y氏は苦笑交じりに、C管理部長へ向き直った。

(Y氏とC管理部長の詳細については、本コラム「事件簿5」をご参照ください)

C管理部長:総経理、大変ですっ。総務のL小姐が、昨日退勤時に事故に遭ったそうです。

Y氏:ええっ!それでけがは?

C管理部長:はい、先ほど本人から電話があり、幸いけがは大したことないそうですが、念のため病院で検査を受けるので、本日は休みたいとのことでした。

Y氏:そうか…大事に至らなくてよかった。

C管理部長:それであのう…、L小姐から「労災補償が支給されるのか確認してもらいたい」とのことでしたが…。

Y氏:労災?事故に遭ったのは、確か退社後だよね?それも労災となるのかね?

C管理部長:はぁ…調べてみないとよく分かりませんが。

Y氏:ともかく、どういう状況で事故に遭ったのだね?

C管理部長:彼女いわく、退社後いつものように託児所へ子供を迎えに行き、自宅へ戻る途中だったようです。事故に遭ったのは、交通量がそれほど多くない大通りで、つい信号のない場所を横切った瞬間、飛び出してきたバイクと接触したようです。幸い、子供にけがはなかったようですが。

Y氏:まったく、どうしてそんな場所を慌てて渡ったりしたんだろう…?

C管理部長:何でも、大通りの向かい側のドラッグストアで「特売セール」が始まり、人だかりを目にして、つい駆け出してしまったようです。最近、総経理から“経費削減”のお達しが出ましたので、会社のストック用にとトイレットペーパーやティッシュをなるべく安く、まとめ買いしようとの思いだったらしいです。

Y氏:………………。そう、じゃあともかく労災認定について調べて、また報告してもらえますか?

C管理部長:承知しました。


●解説

 労災とは、一般に「就業場所で業務中に事故に遭い、傷害を負った場合」と認識されていることが多いと思います。しかし、台湾の労災認定に関する法令においては、「出退勤の、適切な時間帯で、日常的に自宅と就業場所を往復する途中」の事故や傷害についても労災と見なす、との定めがあります。

 ただし、たとえ出退勤時であっても「非日常的な私人行為」や「交通規則違反」があった場合には、労災と認めないとの規定もあります。

 上述のL小姐のケースで「託児所へ子供を迎えに行く」ことは、私人行為に該当しますが、出退勤途中に託児所へ子供を送り迎えすることが「日常的行為」であれば、労災と見なされることもあり、実際に同様のケースで労災認定された事例があります。

 しかしながらL小姐のケースでは、事故に遭う直前、横断禁止の場所を故意に渡った「交通規則違反」行為がありますので、上述の法令規定に基づけば労災認定されない可能性が高いかもしれません。

 このような労災認定の問題発生に備え、会社側が従業員の出退勤ルートを把握しておくことも、大切なことだと思われます。


ワイズコンサルティング 宮本美子

労務コンサルタントの事件簿労務問題Q&A

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