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事件簿26 知られざる社内決裁の実情?!


コラム 人事労務 作成日:2009年12月2日

労務コンサルタントの事件簿 労務問題Q&A

事件簿26 知られざる社内決裁の実情?!

記事番号:T00019578

 
●我が社の会社印…本物はどれ?!

 日系化学材料メーカーD社の台湾駐在事務所に就任した新所長J氏は33歳、海外は初赴任。頼りの台湾駐在歴3年の前任所長K氏が、先週急病で日本へ緊急帰国し、会社命令で急きょ赴任日が繰り上げられ、J氏は右も左も分からぬ台湾事務所に送り込まれたのだった。

 同事務所には、営業マン3人と会計・庶務担当の年若いC小姐がいた。辛うじて日本語ができるC小姐に聞けば、歴代日本人所長を支え、同事務所を切り盛りしてきた古株のB小姐は、現在、産休中であるという。
(最初からこれじゃあ、前途多難だな…)

 それから数日後の月末締め日近いある日、C小姐がJ氏の元へやってきた。

C小姐:J所長、書類に承認印をお願いします。

J氏:あ、はい。印鑑は…と…、
(うん?印鑑がたくさんあるけど…??)

 会社の印鑑が保管されている金庫をのぞき込み、首をかしげるJ氏へC小姐は笑いながら、

C小姐:印鑑の種類がたくさんあるので、私が書類ごとにお知らせしましょうか。

J氏:そうだね。でも、どうしてこんなにたくさんの印鑑があるの?

C小姐:ええと…、会社登記用・各銀行用、その他承認用があるようです。私も当初よく間違えて、B小姐に叱られました。

(同じ中華圏でも香港はサインが主流らしいが、台湾ははんこ文化が根強いんだなぁ)

 一つ一つ印鑑を取り上げ、確認しながら押印するJ氏に向かって、C小姐はなおも話を続けた。

C小姐:金庫に保管されている印鑑のほかに、私がB小姐から預かっているものもありますよ。

J氏:会社の印鑑を?何のために?

C小姐:ええと…業務上、会社印が至急必要な場合、所長不在でもすぐ対応できるようにです…。

J氏:所長不在でも?例えばどんな書類?

C小姐:あのそれは…、これまでB小姐が管理されてきたのでよく分かりません。今、B小姐が休暇中なので私が預かっていますが。あ、前任のK所長もこのことはご存知でしたけれど…。

(業務効率を上げるためといっても、会社印を一所員が所有するのはどうだろうか…?K所長も承知らしいが、所長の知らないところで、所員が無断使用していることはないのだろうか…?)

 机上に並んだ複数の印鑑を見つめるJ氏に、一抹の疑念が広がっていった。

●解説

 いわゆる日本での印鑑登録・証明の制度は、台湾にも存在しますが、一般に在台日系企業で法人印を登録されている企業はまれではないでしょうか。一方、D社のケースのように社内で用途別に印鑑が複数存在することは多く、印鑑ごとに字体を変える・印鑑形状(木目・塗り等)を異なるものにするといった工夫がされていることでしょう。

 また、D社のように、一部業務都合でやむなく、しかるべき担当者に会社印を管理させる場合もあるかと思います。ただしその場合には無用のリスクを回避するため、きちんとその使用目的・範囲、使用者を特定しておく必要があるでしょう。そしてさらに取り決めた内容を文書化しておけば、該当者が権限委譲範囲を越えて無断で行使した場合の処罰や、万一の不祥事発生時の懲戒根拠とできるかと思います。

 貴社でも日本人経営者が知らない印鑑が存在しないか… 一度確認されてみてはいかがでしょうか?


ワイズコンサルティング 宮本美子

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