Keyword.12 郷に入っては郷に従え vs 入郷随郷


コラム 人事労務 作成日:2007年9月7日

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Keyword.12 郷に入っては郷に従え vs 入郷随郷

記事番号:T00002513


 ある企業を訪問した帰り、同社の日本人経営者の方と台湾人スタッフも外出されるというので、表までご一緒しました。何気ない「どちらまで?」との私の問いに、「ちょっと観葉植物を買いに...」とのお答えでした。

 近々、重要な入札を控えていると伺っており、社内の雰囲気も忙しそうでしたので、その最中に「観葉植物?」と少々不思議に思いました。それが私の表情に表れたのか、日本人経営者の方は、「いやあ、古参のスタッフが言うには、うちのオフィスは風水的に緑が足りないというのですよ。もう縁起かつぎの世界ですけど、『郷に入っては郷に従え』かなぁと...」と苦笑まじりにおっしゃったのでした。

 台湾は世界中のどこよりも「日本人にとって住み易い外国」であると日々感じていますが、やはり異国は異国...、言葉の問題はさておき、異文化の風習やしきたりに驚かされたり、知らぬがゆえに失敗することもしばしばあります。

●鬼月のタブー

 今の時期は旧暦の7月「鬼月」に当たります。この場合の「鬼」はいわゆる「霊」を指し、本来は「祖先の霊」を迎え、慰めるという伝統習慣で、日本のお盆に該当します。
 
 しかし「鬼門」が開放される際、無縁仏やこの世に未練のある邪悪な霊も一緒に現れ出るため、鬼月には避けるべきタブーとされていることがいくつかあります。
 
 引越、結婚、建築、旅行などの新しい門出となる行為や、新居や新車などの大きな買い物は、鬼月には避けた方が良いといわれています。迷信に近いものとしては、水遊びはしない、洗濯物は日が落ちる前に取り込む、夜中に口笛を吹いてはいけないなどもあり、日本のお盆時期のタブーと似ているものもありますね。

 そして台湾人は、日本人以上に慣習を重んじるため、最近は昔ほどではないにしても、実際にタブーを犯さないよう行動します。そのため、今年も各自動車メーカーは、直前に大規模なセールを行い、鬼月の売上ダウンを補っています。
 
 また鬼月の期間には、これら霊を鎮める、お供えをしてお祈りする儀式(拜拜)が台湾のあちらこちらの通りで見かけられます。この儀式のお供え物のタブーとして、「バナナ(香蕉)」「すもも(李子)」「梨(梨子)」の三つを一緒にお供えしてはいけない、とのいわれがあるそうです。

 これは、台湾語で3つの果物の一字を発音した際の「蕉・李・梨(ジャオ・リ・ライ)」が「招?来(ジャオ・リ・ライ)=霊を呼び込む」と同じ音になることに由来しているそうです。

●異国のしきたり
 
 昨今の日本では「コンプライアンス」や「企業責任」が声高に叫ばれ、その余波は海外法人にも及んでいます。多くの在台日系企業におかれましても、本社指示による組織整備や規則作成を推進されていることと思います。
 
 異文化社会の海外拠点においても「日系企業」としての文化や慣習、あるいは日本本社の経営理念に基づくことは大切なことです。また一方で、その地の伝統慣習をふまえ尊重する経営方針や経営者の姿勢は、殊にしきたりを重んじる社会の現地従業員には好意的に映り、円滑な組織運営にもつながるのではないでしょうか。 
 
 私が知る在台日系企業の中にも、台湾の伝統慣習を尊重するため、会社を挙げて「拜拜」の儀式を行っている企業や、「郷に入っては郷に従え(入郷隨郷)」の精神で、台湾の風習や文化を自ら進んで学ぼうとする姿勢の日本人経営者の方がおられます。こうした企業では、日本人経営者と台湾人スタッフの関係は、比較的円満であるように感じられます。

 ちなみに、冒頭でご紹介した企業に後日入札結果をお伺いしたところ...見事落札(!)されたとのことでした。今回「観葉植物購入」を提案された古参スタッフの力量は、今後ますます重宝されるにちがいありません(笑)。

ワイズコンサルティング 宮本美子

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