事件簿30 解雇は最終手段…?!


コラム 経営 人事労務 台湾事情 作成日:2013年12月20日

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事件簿30 解雇は最終手段…?!

記事番号:T00047710

 在台日系企業のM社は化粧品販売会社。総経理の小林氏は、赴任して3カ月がたつ。職場は女性ばかりで小林氏より年上も数人いたが、社員もすぐに打ち解けてくれた。台湾赴任も順調そうにみえたそんなある日…。

ハラスメント社員の対応…

 総経理秘書である王小姐が、泣きそうな顔をして、総経理室にやってきた。

王秘書:総経理…入社して半年たちましたが、私もう耐えられません…。辞めさせてください!

小林総経理:君はよく仕事をしてくれて助かっているんだが…。一体何があったんだ?

王秘書:それは…総経理の指示通りに、次年度の個人目標を各人に伝えたところ、会計担当の蔡さんに「そんなの従う必要ない」と言われてしまいました。他の部門長も彼女には逆らえなくて…

小林総経理:何だって?!

王秘書:それだけではなく、周りの人に会社の悪口や私の良くないうわさを流しているのです…。もう彼女とは一緒に仕事したくありません!

小林総経理:確かに前々から気が強いとは思っていたが、陰でそんなことをしていたとは…

小林総経理:でも蔡さんは入社10年で出納組長として予算編成や財務分析などの業務をしっかりやってくれている。能力上は申し分ないが、正直彼女でなくても新しい会計担当を雇えば問題ない。他の社員への悪影響を考えると辞めさせた方がよいのか…。台湾の法律では解雇はできるのだろうか?)

●解説

 法律上は、労働基準法(労基法)の第11条第5項(予告解雇の条件)に「労働者がその担当職務において、確実に能力上不適格と認められた場合」と記されている。「不適格」の判定には2種類ある。一つは「能力、専門知識の不足により業務遂行が困難」。もう一つは「能力はあるが勤務態度が悪く、忠実に業務を行わない」というもので、どちらの場合も不適格と判定することができる。ただし、雇用主が労働契約を終止する場合、労働者の就労の権利が脅かされるため、まずは軽微な懲戒処分が求められ、解雇は「最後の手段」としての性質を持つとされている。

 今回の場合、ハラスメント行為やその他の違反行為が発覚したとしても、いきなりの解雇は不当な解雇であると訴えられる可能性が高い。解雇の前に懲戒措置を先に取るべきである。

 台湾の労基法は日本と違って労働者の権利に対して有利にできています。どうしても解雇が必要と判断された場合は、段階的に行う必要があります。まずは、しかるべき処分、降格や異動で対応します。ただし、業務上の都合で、それがなかなかできない場合もあります。最終的にはお互いに妥協点探り、納得して辞めてもらうことで、不当解雇と訴えられるリスクを軽減するのも手でしょう。また、労働契約の終止に同意したら、その場で離職申請書・同意書および解雇金同意書に署名をもらうことを忘れないようご留意ください。 

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