事件簿32 雇用期間の取り決めは合法か?


コラム 人事労務 台湾事情 2014年2月21日

労務コンサルタントの事件簿 労務問題Q&A

事件簿32 雇用期間の取り決めは合法か?

記事番号:T00048752

 在台日系企業の医薬品販売会社T社の佐藤総経理は、台湾に赴任して3年が過ぎようとしていた。佐藤総経理は赴任前に、海外駐在経験のある先輩から、海外では従業員の会社に対するロイヤルティーが低く、ジョブホッピングは当たり前と聞いていた。

 そして先輩の言葉どおり、この1年会社の若返りを図るため若手人材を積極的に採用したが、外資系企業の方が給与が高いという理由で、1年もたたないうちに次々と転職していった。

雇用期間を取り決める

佐藤総経理:「最近の若者は、石の上にも3年という言葉を知らないのだろうか…(深いため息)」

黄管理部長:「実は同業他社から、わが社から転職してくる従業員は質が良くて即戦力になると喜ばれています」

佐藤総経理:「体のいい訓練所扱いだな…。何か良い対策はないか?」

黄管理部長:「そうですね~、定期契約を結び、1年ごとに更新するのはいかがでしょうか?」

佐藤総経理:「なるほど。その定期契約に雇用期間を設けて雇用期間を迎える前に離職する場合、教育費として月給2カ月分の賠償金を会社に支払うというのはどうだ?」

黄管理部長:「それだと今度は採用が難しくなりそうですが…法律の確認をしてみませんか?」

●解説

 さて、会社が従業員を採用する際に、雇用期間を取り決めた定期契約を結ぶことがあります。しかし、同契約をめぐる争議は少なくありません。定期契約はどのように締結すれば、法的な観点からみて問題がないのでしょうか。

1.労働契約には「不定期契約」と「定期契約」があります。「不定期契約」はいわゆる正社員としての雇用で、「定期契約」は一定の労働期間を定めて取り交わす労働契約を指します。労働基準法第9条および労働基準法施行細則第6条では「臨時性、短期性、季節性、特定性のある業務」でなければ、定期契約を締結してはならないと定めています。すなわち、会計担当のように会社に常設されている職務あるいは定型的な業務内容の場合は、定期契約を取り交わしても無効になります。

2.雇用期間を取り決める場合、労働基準法には特別規定はありません。ただし、行政院労工委員会労働二字第58938号の解釈令によると、労使双方の協議により定めるものとあります。雇用側は企業イメージ、営業規模、賃金、福利厚生、職務内容、従業員のキャリアプランなどを全て考慮した上で、「必要性」および「合理性」の観点で正当性を判断し、保証期間および賠償金額は妥当かどうかを判断する必要があります。

 なお、従業員にはあらかじめ労働契約に明記し、従業員の同意を得ておくことをお勧めいたします。

 今回のT社のようなケースは、まず「必要性」を考える必要があります。例えば、弊社のように新入社員に入社後の1カ月間、ビジネスマナー研修を受けさせるなど教育体系がしっかり構築されている場合は、必要性に関しては適合します。

 人材育成に力を入れている企業の多くで、雇用期間を取り決めている実態があります。現地スタッフを海外に長期間研修に出す、定期的にスキルアップ研修を受講させているなどの場合、例えば、「研修受講後1年間未満で離職する場合、研修にかかる全費用を会社に支払う」と規定し、同意を得ることができます。

 ただし、賠償金は給与から差し引くようなことはしないでくださいね(違法です)。 

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