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事件簿36 身元保証書の提出拒否で解雇できるか?


コラム 人事労務 台湾事情 作成日:2014年7月18日

労務コンサルタントの事件簿

事件簿36 身元保証書の提出拒否で解雇できるか?

記事番号:T00051611

 T社は台北市内で不動産仲介業務を行っている従業員20人ほどの規模の会社です。T社では、新入社員に入社後約1週間は、業務にかかわる研修を実施し、就業規則の読み合わせを行って、労働条件や社内ルールの教育も行っています。

書類の未提出で解雇は可能か?

管理部長:「当社の就業規則に関しては、以上の通りですので、Aさんも当社の社員として、会社のルールをしっかり守り、勤務してください」

Aさん:「はい、分かりました。会社の就業規則を順守して、一生懸命頑張ります」

管理部長:「では、就業規則にも規定されていましたが、当社では社員の皆さんから、誓約書と身元保証書の提出をしてもらっています。誓約書には今ここでサインして、身元保証書は2週間以内に私宛てに提出してください」

Aさん:「はい、分かりました。できるだけ早く提出するようにします」

──その後、書類の提出期限が到来したが、Aさんからは書類の提出はなかった。

管理部長:「身元保証書の件、今日が提出期限だけど、持ってきてくれましたか?」

Aさん:「あっ…すいません。ちょっと準備が遅れています。もう少し待っていただけませんか?」

管理部長:「仕方ないですね。分かりました。なるべく早く出してください」

──しかし、その後も、提出がなく試用期間終了まで、残り1カ月となった。仕方なく翌日、管理部長はもう一度Aさんを呼び出し、話をすることにした。

管理部長:「身元保証書はいつになったら出してくれるんですか?身元保証書は、当社の業務では金銭を扱うこともあるので、横領などの事故を防ぐため、そして社員としての自覚を促すという意味も込めて提出してもらっています。何か気になることがありますか?」

Aさん:「いいえ…特に気になる点はないのですが…」

──結局、Aさんからは試用期間終了まで身元保証書が提出されることはなかった。

管理部長:「結局、身元保証書の提出がなされませんでしたね。大変残念ですが、本日付で退職する旨の退職届を提出して下さい」

Aさん:「解雇されるのであれば、それはやむを得ません。ただし、会社都合の解雇なので、退職届は提出できません」

管理部長:「何言っているんだ?きちんと書類を提出しないあなたが悪いんでしょう?とにかく、今日で雇用契約は打ち切りです!」

Aさん:「分かりました!辞めますよ! その代わり、後悔しても知りませんよ!」

──そして、しばらくたったある日、Aさんから会社に対して、解雇手当を求める訴状が届いた。

 Aさんは、労働基準法第16条第1項の「会社が労働者を解雇する場合、勤続3カ月以上1年未満の場合は、10日前までにその予告を行う。雇用主が期間通りの予告をせずに契約を解除した場合は、予告期間分の賃金(解雇手当)を支給しなければならない」との規定に基づき、会社は解雇手当を支払うべきだと主張しています。

 管理部長は困り果てて、労務コンサルタントに相談をしました。

●解説

 一般的に、入社時に提出させる書類が提出されない場合には、これらの書類が業務遂行や諸手続きに必要不可欠であり、その内容が適切なものであると認められるのであれば、その不提出を理由とする解雇も社会通念上相当であると考えられます。

 身元保証書の場合であれば、台湾でも一般的に、不動産業、金融機関、警備員や財務担当者などの正社員であれば、会社が提出を要求することについて、業務上の必要性がある程度認められると考えられます。

 しかし通常、身元保証書に関しては、民法の規定により有効期間は最長3年であるなど、制限がかかっています。このため関係規定に違反するような身元保証書の提出を要求した場合には、労働者がこれを拒んだとしても、未提出を理由とする解雇は無効となる可能性が高いと考えられますので、その点は注意が必要です。

 なお、本件のようなトラブルも想定し、面接の段階から、採用後の提出書類を提示して説明を行い、提出されない場合は採用しない旨を明らかにしておくことが実務上は重要だと考えられます。 

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