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事件簿1 法律の条文を鵜吞みにするリスク


コラム 人事労務 作成日:2008年3月12日

労務コンサルタントの事件簿 労務問題Q&A

事件簿1 法律の条文を鵜吞みにするリスク

記事番号:T00006031

 
●支払うべき解雇金はいくら?

 台湾M社は、日本のM株式会社の台湾法人である。台湾進出は2005年7月と、日系企業としては台湾進出は遅い方だった。M社は8つの事業部構成だが、台湾ではそのうちの3つの事業部、社員20人の陣営でビジネスを展開していた。しかしC事業部は赤字が続いていた。

 台湾M社の平松総経理は「C事業部を維持したままでは台湾M社の存続に関わる」と、本社と検討を重ね、今年4月より台湾M社はC事業部のビジネスから撤退することが決定していた。台湾M社内でC事業部に関わる従業員は10名いたが、平松総経理の計画では3名は他の事業部に異動してもらうものの、異動させられない7名は解雇するつもりだった。

 平松総経理は労働基準法の日本語訳を入手し、労働基準法に従って解雇の1カ月前に7名に解雇通告をし、勤続1年につき0.5カ月分の賃金を解雇金として支払うことを告げた。その日は無事に過ぎたものの、次の日、解雇予定の従業員7名から「不当解雇として訴える」と通告を受けた。

 従業員の主張は「労基法によれば、解雇手当は勤続1年につき1カ月分の平均賃金で支払うべきである。平均賃金は6カ月間の会社から得た所得全ての1/6なので、残業代や年末賞与なども含めた金額の1/6の支払いを要求する」とのことである。続けて、「もし、この要求が聞き入れられない場合は公的機関に訴える」と告げられた。

 平松総経理は困り果てて、コンサルタントに相談することにした…

●解説

 ワイズ労務顧問会員の日本語訳によると労働基準法第17条第1項では、以下の通り定められている。

「同一雇用者の事業単位にて継続勤務した場合、満1年になるごとに1カ月の平均賃金に相当する額の解雇手当を支払う」

 また、労働基準法第2条に定める「賃金」および「平均賃金」の定義は以下の通りだ。
賃金:労働者が労働の代償として支給される報酬を言い、賃金給料又は労働した月、日、時間若しくは出来高によって算定される現金若しくは現物等でもって支給される賞与、手当その他名称の如何を問わず、経常に給付されるすべてのものを含む。

平均賃金:これを算定すべき事由の発生した日より前6カ月間に支給された賃金の総額を、その期日の総日数で除した金額をいう。

 この法律を読む限り、従業員側の主張が正しいように感じるが、実はそれほど簡単ではない。

 まず、台湾M社の場合は60日以内に従業員の1/3を超える人数を解雇するわけだから「大量解雇労働者保護法」に基づき、「60日前の予告」を含めた労働基準法とは違う方法で適切な解雇を行わねばならない。もし、労働基準法どおりの解雇を行えば、違法となり平松総経理は出境禁止となる。

 また解雇金の支給月数については、台湾M社は05年7月以降に従業員を採用しているので、労働基準法ではなく「労働者退職金条例」に基づき、「勤続1年につき0.5カ月の支給」で構わない。

 最後に平均賃金であるが、これは「労働基準法施行細則」により、「残業代」や「手当」は含まれるが、年末賞与は含む必要はない。

 つまり解雇金の計算式は以下の通りである。

「年末賞与を除いた6カ月の収入合計÷6×0.5」

 ただし、採用の際「わが社では賞与を含めて年間14カ月分の賃金は保証する」と伝えていたり、労働契約に「賞与:年間最低2カ月」などの記載がある場合は、賞与も賃金に含めて計算しなければならない。


ワイズコンサルティング 吉本康志


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