事件簿47 法改正に伴う国定休日は休ませないといけない!?


コラム 人事労務 台湾事情 2016年7月1日

労務コンサルタントの事件簿

事件簿47 法改正に伴う国定休日は休ませないといけない!?

記事番号:T00065029

 台湾の法定労働時間が2週間84時間から1週間40時間に法改正されたことに伴い、昨年12月に労働基準法施行細則第23条の国定休日19日が12日に改正されて半年が経過しました。しかし、2016年6月21日付で同施行細則第23条が失効となりました。よって、国定休日は12日から19日に戻り、運用上、復活された7日の国定休日の企業対応について混乱を招いています。そして、S社も国定休日の件で頭を悩ませておりました。

総経理:「今年法改正があったばかりで、また法改正があるのか?!」

管理部長:「今年は総統選挙があったので、法律も変わりやすいのかも(汗)」

総経理:「今後また12日に戻る可能性はあるのか?」

管理部長:「政府が完全週休2日制を導入し、労働基準法が改正された場合、また法改正があるかもしれません。しかし、10月までに何らかの法改正がなければ、今年は国定休日を19日に戻さなければならないようです」

総経理:「それにしても年度の途中で国定休日を変えるなんて…ところで復活した7日の休日は休ませないといけないのかね?」

管理部長:「はい、当社は完全週休2日制(1日8時間、週40時間)のため、法律が失効になる前はさかのぼって休ませる必要はありませんが、今年は残り5日の国定休日を休みにしなければなりません」

総経理:「そうなのか。これ以上休日が増えるのは生産量に影響しそうだな。ところで、当社独自のカンパニーホリデーが3日あったが、それと今回の追加された5日のうち3日と入れ替えてもいいのか?」

管理部長:「そうですね…法律上は問題ないと思いますが、休めるはずの休日が休めなくなるので、従業員が納得しないかもしれないですね」

総経理:「それで、残り2日の国定休日は休みにして、土曜日に振替出勤させるのは?」

管理部長:「う~ん…国定休日を振り替えるということですか?それは法律違反なのではないでしょうか?」

●法律違反にならない企業の対応策

 労働基準法第37条によると、「記念日、労働者の日およびその他中央主管機関が定める休日とすべき日は、休ませなくてはならない」とありますので、原則として国定休日は全て休ませなければなりません。

 しかし、労働基準法第1条に「雇用主と労働者との間において定める労働条件は、本法に定められる最低基準を下回ってはならない」と定めがあるため、法定労働時間や休日よりも優遇されている場合、復活した休日と入れ替えても問題ありません。ただし、労働条件の変更に当たりますので、労使双方の協議の上、従業員「本人」の同意を得る必要があるとされております。(解釈令:労動條1字第1040130697号参照)

 よって、法定休日(16年は117日)より優遇されている場合、カンパニーホリデーの3日は、従業員の同意があれば国定休日と相殺し、残りの2日を休日にすれば、法律上問題ありません。

 なお、土曜日を振替出勤にすることは、国定休日を休みにしていないことになりますので、どうしても業務上必要であれば、従業員の同意を得て、出勤にすることは可能ですが、賃金は倍額を支給しなければ法律に抵触致しますので、ご留意下さい。

◎参考解釈令の和訳:労働基準法第37条、39条および労働基準法施行細則第23条の規定により、公、私立幼稚園に雇用される労働者にも国定祝日に休暇を与えなければならない。雇用主は労働者の同意を得て出勤させる場合は、賃金を倍額支給しなければならない。また労使双方の協議の上、「国定祝日と労働日の入れ替え」を実施する場合、労働者個人の労働条件の変更に当たるため、労働者「個人」の同意を得る必要がある。(労動條1字第1040130697号)

佐々木緑

佐々木緑

コンサルタント

高校より台湾のインターナショナル校・専門学校に進学し、卒業後、2年間日本成田空港制限区域内の免税店にて就業し販売員の経験を持つ。台湾帰国後、2007年にワイズコンサルティング入社〜現在に至る。管理部・営業部に配属され、現在は労務コンサルタントとして活躍中。

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