第7回 「菊を食べる?!」食用菊の話


コラム その他 2019年8月22日

博士の雑学サイエンス

第7回 「菊を食べる?!」食用菊の話

記事番号:T00085342

 菊花は天皇家の紋章の花でしょう?それを食べるの?

 天皇家はさておいて、中国では古来より、延命長寿の薬として菊花を煎じた「菊茶」「菊花茶」を飲む習慣がありました。台湾でももちろん、菊茶は結構ポピュラーに飲まれていますよね。

 菊茶は消炎・解熱作用があり、風邪をひいたときに飲む薬茶として、また眼精疲労などにも効果的な健康茶として、大人から子供まで広く飲まれています。

 欧州でもキク科のカモミールがハーブティーとして、消化不良や精神安定、安眠を助ける効果から愛飲されています。

 日本には奈良時代に中国から伝来したとされ、平安時代の927年に行われた延喜式の典楽寮の中に「黄菊花」の名があります。やはり薬用茶として飲まれていたもようで、それが江戸時代に食用として民間で食されるようになったとされています。なぜ飲み物のお茶を食べるようになったのかは、よく分かっていません。俳人の松尾芭蕉が菊を好んで食したらしいことが伝わっています。

菊の栄養素

 菊そのものの解毒作用については、ポーラ社の研究により、生体内の解毒物質「グルタチオン」の産生を高めることが発見されています。

 また、食用菊としては日本大学薬学部・理学部の研究から、発がん抑制やコレステロールの低下、中性脂肪の低下といった効果があることも見いだされています。

 栄養面ではビタミンやミネラルが多く、特にβ–カロテンやビタミンC、葉酸をはじめとしたビタミンB群などの抗酸化作用の高い栄養素を多く含むことが分かっています。さらに、紫菊花には抗糖化作用があるとされ、アンチエイジングの観点からも注目されています。そうそう、ピロリ菌発育阻止作用が期待されることも分かってきているようです。

菊の食べ方

 日本で食用とされる菊花のポピュラーな品種としては、延命楽(山形では「もってのほか」という)や阿房宮(青森県八戸市特産)などがあります。これらは観賞用の菊に比べて苦味が少なく、甘みのある品種とされています。

 調理方法は、ゆでておひたしにしたり、酢の物やあえ物、天ぷらや吸い物にして食することが多いようです。また、花びらを湯がいたり蒸したりした後に、のりのように薄く四角い形に乾燥させた「菊のり」、「干し菊」、「のし菊」などの加工品もあります。

 刺し身やちらしずしなどにツマとして添えられているのも、菊そのものの解毒作用による殺菌が目的で、単なる飾りという訳ではないのです。次回、刺し身やすしを食されるときは、ぜひこの菊花も一緒に食べてみてください。食用菊の生産地としては日本では愛知が最大で、次いで山形、福井、青森と続きます。

菊を飲む

 最後に台湾や中国でポピュラーな菊花茶ですが、これは摘んだ菊の花をそのまま天日干しにして乾燥させ、お湯350ccに対して菊花茶を4個ほど入れて、2分ほど蒸らして抽出していただくと良いようです。菊の香りがきつくてなじめない方は、緑茶やプーアール茶とブレンドすると飲みやすくなりますよ。

 ちなみに台湾では苗栗県銅鑼郷九湖村の有機栽培「杭白菊花」が有名です。日当たりも良く霧が発生するこの地は「杭菊花」の栽培に最適で、台湾唯一の産地なのだそうです。

松田立人

松田立人

化学業界ビジネスコンサルタント

京都大学卒 工学博士 一部上場の化学会社において日本と台湾の経営トップとして化学業界を熟知。研究開発、事業企画から国内外営業、人事労務に至る幅広い経験を持ちます。更に国内外に多くのビジネス人脈を有します。ワイズコンサルティング副董事長

博士の雑学サイエンス

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。