第10回 ゴルフボールの科学


コラム その他 2019年10月24日

博士の雑学サイエンス

第10回 ゴルフボールの科学

記事番号:T00086488

 今回はお好きな方も多いゴルフの話題、それもボールの話です。「ゴルフクラブには関心があるがボールは何でもいいや」という方、それは大間違いですよ!野球でいえば硬式と軟式ほどの差が出るんです。ゴルフというスポーツは、ボールが統一球ではなくて、ある一定の要件(下記の条件)さえ満たせば個人の物を自由に使ってよい唯一の球技です。

1)重量45.93グラム(1.62オンス)以下 

2)直径42.6767ミリメートル(1.68インチ)以上 

3)初速76.2メートル/秒(250フィート/秒)+2%以下 

4)飛距離317ヤード+3ヤード以内 

5)対称性:打撃位置による飛行特性が一定差以内(範囲限定ではない結構曖昧な基準ですね)

 統一球でないために、ボールの開発に各社がしのぎを削り、クラブ同様どんどん進化してきています。

ゴルフボールの変遷

 ゴルフ発祥初期は、フェザリーボールという牛馬の皮の袋の中に羽毛を詰め込んだボールだったそうです。1845年ごろからはガッタパーチャボールという天然の硬質生ゴムのボールになり、1898年からはこれを改良してゴム芯に糸を巻き付け、ガッタパーチャを表皮にした現在のボールの原型となるものになり、1965年にエチレン・メタクリル酸系熱可塑性アイオノマー樹脂(金属イオン含有樹脂)を表皮に使う大きな変革があり、傷付きや割れなどの耐久性が著しく改善されました。

 またアイオノマー樹脂は反発弾性が大きく射出成型しやすいこともあり、製法上も飛躍的に進化しました。90年代になるとさらなる高機能化を目指し、中間層にポリエステル系、スチレン系等の各種エラストマー(ゴム弾性高分子)を用いたボールが出現して「飛び」「フィーリング」などを追求し、2000年からはウレタンエラストマーをカバーに使ったボールも開発され、表面が傷付きにくく、スピンをかかりやすくして、今やプロ向けの主流となってきています。

飛びの追求

 ゴルフで大事なのはやはり「飛距離(飛び)」と「正確性(コントロール)」でしょう。中でも「飛び」はゴルフの醍醐味(だいごみ)の最たるものでしょう。飛距離は「飛び」の3要素、▽初速度▽打出角▽スピン量──で決まります。それに加えてディンプルによる揚力に影響されます。

 ヘッドスピードが48メートル/秒以上あるプロ以外の40メートル/秒前後のゴルファーなら、「ディスタンス系」といわれるコアが柔らかくカバーが硬い低スピンのボールがお薦めです。さらに「飛び」だけでなくサイドスピンも減って、曲がり幅が抑えられる利点もあります。ちなみに打出角22~26度、スピン量2,200~2,600回転が飛距離が伸びやすい値とされています。そしてヘッドスピード×5.5=飛距離と概算できるようです。ヘッドスピードが40メートル/秒の人なら40×5.5=220ヤードは飛ぶ計算になります。

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 そこまで飛ばない方はミート率を上げる必要があります。でも、飛距離だけではなく、プロのようにバックスピンをかけてピタッとピンそばに止めたいという欲望もありますよね。特に上級者となるとただグリーンオンだけでは満足できなくなりますよね。そういう方には「スピン系」といわれるカバーが柔らかくてコアが硬いボールがお薦めです。これなら飛距離は若干落ちますが、グリーンを狙ったアプローチショットでスピンを効かせてピタッと止めることができるでしょう。

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 最近ではさらに進化した4ピースボールや5ピースボールも開発され、これらは飛距離とスピンの相反する要求を両立させる優れものです。せっかく自分のボールを自由に選べるスポーツなのですから、自分のスイングに合ったボールを選んでさらにゴルフを楽しくしましょう。今度ゴルフボールを買うときは、ぜひ箱に書いてある説明書き・性能データをよく読んで、自分に最適のものを選びましょう。

松田立人

松田立人

化学業界ビジネスコンサルタント

京都大学卒 工学博士 一部上場の化学会社において日本と台湾の経営トップとして化学業界を熟知。研究開発、事業企画から国内外営業、人事労務に至る幅広い経験を持ちます。更に国内外に多くのビジネス人脈を有します。ワイズコンサルティング副董事長

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